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2015/02/22 【2・22与那国で自衛隊配備の住民投票開始】「賛成する人は、戦争を知らない」 〜戦争体験者、牧野トヨ子さん(92)にインタビュー

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※2月22日21時、大勢が判明。賛成632票、反対票445、無効17票で、陸上自衛隊「沿岸監視隊」配備賛成派が、反対派を上回った。投票率は85.74%だった。(2月22日21時更新)

 「国境の守りを固め 安心・安全・島の活性!」、「神高い島 軍隊はいらない!」

 町内のいたるところには、賛成と反対ののぼりが対立するように立ち並んでいる。

 2015年2月22日、日本最西端に位置する沖縄県与那国町では、陸上自衛隊配備の賛否を問う住民投票の投開票日を迎える。

 2005年に自衛隊配備が打診されてから、与那国町民は、賛成派と反対派に二分されてきた。かつて、1万人以上いたと言われる与那国町の人口は、現在、約1500人にまで減少。賛成派は、自衛隊配備によって駐留する約150人の部隊とその家族の来島によって、人口減少に歯止めをかけ、町の活性化を狙う。

 自衛隊誘致を推進する外間守吉(ほかましゅきち)町長は、2013年の町長選で3選を果たしたが、誘致反対派の候補との得票数の差はわずか47票。昨年2014年4月から、配備予定地ですでに工事は始まっているが、反対派の声も根強い。特に、島の中心部に位置する祖納地区と西部の久部良地区の住民の中には、基地レーダーによる電磁波の健康影響に不安を抱く住民も多い。今回の投票結果次第では、工事の計画に影響を与える可能性もある。

 有権者の数は、中学生や永住外国人を含め、1300人弱。投票結果に法的拘束力はないものの、外間町長は「反対が上回ったら、町としては配備に非協力的にならざるを得ない」と語っている。

  • 記事目次
  • 基地に反対する理由「備えがある方が、むしろ危ない」
  • 基地に依存しない経済をどう実現するか
  • 「島の生活が変わってしまうのは、大変なこと」
  • 八重山教科書問題「皇室のことばかり書かれている」

基地に反対する理由「備えがある方が、むしろ危ない」

 反対派の中には、戦争体験者も少なくない。与那国町比川地区に住む牧野トヨ子さんは、現在92歳。22歳当時、乳飲み子を抱えながら太平洋戦争の戦火を体験した一人だ。隣国から近い位置にある与那国島の警備強化は、経済を活性化すると共に、島の安全にもなると賛成派は主張するが、牧野さんはこれに強く反対。「備えがある方がむしろ危ない」と警鐘を鳴らす。IWJは2月20日、牧野さんの自宅で、その胸の内を聞いた。

【インタビュー動画】

 「戦争体験からいっても、備えがある場所の方がむしろ危ない。何もない所に(攻撃)は来ない。人が住んでいるから、軍事基地を作ったら危ない。止めた方がいいと、周りには言ってきた。自然がないと観光にも来てもらえなくなる。先祖代々残した自然を、これからの世代に残してあげたい。

 今の世代は戦争を知らない世代が多い。22歳の時、長男がまだ乳飲み子の頃、戦争が盛んになった。3月3日浜降(はまおり)の日に、米軍が上陸しているというから、洞窟に避難した。食べ物も持たないで逃げて、子どもは泣くし、大変だった。洞窟から出ようとしても、次から次へと(戦闘機が)こちらめがけて飛んできた」

基地に依存しない経済をどう実現するか

 「兵隊の島になる。島の人はみんな出て行ってしまう」

 島を活性化する方法について、牧野さんは観光を掲げる。しかし、基地ができれば、島民のさらなる流出に繋がると不安を抱く。

 「人口が増えるとか、お金のことだけを考えてはだめだと思いますよ。戦になったら、何のためにもならない。与那国は景色もいいし、自然にも恵まれているから、観光客を呼んだ方がいい。基地がある所に観光客は来ない。お金に目がくらんでいる人が、島を売ろうとしている。先祖代々守ってきたこの土地を、次の世代に渡すのが私たちの責務だと思っている」

 戦争を体験した一人として、牧野さんは戦争へと道を開く選択には、断固反対する。インタビュー途中、外を走る賛成派の街宣カーの音が聞こえた。

 「不思議だね。自分の島を売り払おうとするなんて考えられない。これは、みんな戦争を知らない人。自衛隊は、人を助けるからためになるという人もいるが、これは大きな間違い。地震や災害の時は助けるかもしれないが、いざ、戦争となったら向こうも命ある人間。人を助ける余裕はない。

 絶対に、戦争で人を助ける余裕はありません。沖縄本島では、戦争の時、防空壕の中に島民をみんな外へ出して、兵隊が中に入ったという話もある。戦争が分からない人は、(自衛隊が自分を)助けてくれると思っている」

「島の生活が変わってしまうのは、大変なこと」

 「台湾から持ってきたお米とかね、ヤマトから商売の人が来て、バーター(物々交換)したりね。とても賑やかだった」

 牧野さんは、過去、与那国島が台湾との貿易で栄えた時代を懐かしく振り返り、周辺諸国との関係について触れた。

 「みんなと仲良くしたらいい。(隣国と)行ったり来たりすればいい。沖縄は昔日本のものではなかった歴史があるから、みんなと仲良くしたら戦争はしないはずと思っている。昔みたいに、できないかもしれないけど、みんなが本土とも仲良くして、戦争のないようにして、できたらその方がいい。他の国と仲良くしたら戦争することはない」

 住民投票の行方が気になる。結果によっては、基地建設が加速する可能性もあり、そうなれば、この島の生活は一変する。「賛成」票が上回った場合はどうするのか。牧野さんに聞いた。

 「軍隊や自衛隊でいっぱいになるでしょう。統制されて、ここから先は入れない、あっちから先は入れない、となる。島の生活が変わってしまい、自由にはできないはず。これは大変なこと」

(取材:渡瀬夏彦・KEN子、記事:ぎぎまき)

八重山教科書問題「皇室のことばかり書かれている」

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2015/03/05 【沖縄】辺野古ゲート前での抗議行動(動画)

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 3月5日(木)、沖縄県名護市の辺野古ゲート前にて行われた抗議行動を沖縄取材中のぎぎまき記者が中継した。抗議行動後、中心人物の山城博治氏に現場で話を聞き、また同行していたIWJ沖縄中継市民のKEN子が辺野古ゲート付近の様子を解説した。

■Ustream録画
・1/6(17:41~ 11分間)

・2/6(17:55~ 15分間)

・3/6(18:11~ 2分間)

・4/6(18:16~ 12分間)※山城博治氏のインタビュー、IWJ沖縄中継市民KEN子の解説

・5/6(18:29~ 10分間)※解説の続き

・6/6(18:41~ 9分間)※解説の続き

  • 日時 2015年3月5日(木) 18:00〜
  • 場所 辺野古ゲート前とその付近(沖縄県名護市)

 
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2015/03/06 【沖縄】新基地建設で揺れる沖縄県辺野古 〜カヌー隊を発案した東恩納琢磨名護市議に聞く――ぎぎまき記者による沖縄取材2日目(3月6日)

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東恩納名護市議会議員

※3月7日テキストを追加しました!

 「全国からカヌーオーナーを募集して、カヌーを預かる代わりに、使わない時は環境教育や基地建設反対運動で使わせてもらいました」

 連日、大浦湾海上で、新基地建設作業を進める防衛局に抗議するカヌー隊だが、カヌーを使った抗議行動を発案したのは、地元出身の市議会議員、東恩納琢磨(ひがしおんなたくま)議員だった。IWJは3月6日、東恩納議員の自宅を訪問し、建設作業を強行する政府と、それに反対する市民の攻防が繰り広げられている名護市について、話を聞いた。

 議員の前は土建会社に努めていたという東恩納議員は、キャンプ・シュワブ内の工事に携わったこともあるという。しかし、普天間飛行場の移設先に名護市の名前が浮上したことをきっかけに、基地建設事業で生業をたてる未来に疑問を抱き、退職。1997年に行われた、基地建設の賛否を問う住民投票には、住民投票条例の制定から積極的に関わったという。投票の結果は、基地建設反対が優勢。しかし、当時の比嘉鉄也名護市長は、基地建設反対から容認に転じ、首相官邸で開かれた会見で、基地受け入れを表明した。市長の手のひら返しは名護市に混乱を招き、地域は、その後、基地容認と反対に二分されることになる。

 97年以降、基地建設をめぐって翻弄されてきた名護市の変遷と、2010年に稲嶺進現市長が誕生してから、大きく変わっていった名護市について、東恩納議員に話を聞いた。(IWJ・ぎぎまき)

  • 記事目次
  • キャンプ・シュワブ内の工事にも携わっていた東恩納議員
  • 比嘉元市長が、東京で記者会見「基地受け入れを表明」
  • 市長選挙で敗北、土建会社を退職後、エコツーリズムに
  • カヌーで阻止行動を発案したのは、東恩納議員だった!
  • 稲嶺進名護市長誕生の背景
  • 反対派の市長がもたらした、基地に頼らない地域力
  • 稲嶺市長の権限で遅らせている建設工事
  • ゲート前での米軍による拘束事件
  • 日本国民が問われている「だだをこねている総理大臣を、いつまで置くのか」
  • 二分されていた地域を修復しつつある稲嶺市長

  • 東恩納琢磨(ひがしおんな・たくま)氏(名護市議会議員)
  • 日時 2015年3月6日(金)16:40頃~
  • 場所 沖縄県名護市瀬嵩(せだけ)

キャンプ・シュワブ内の工事にも携わっていた東恩納議員

IWJ「1997年に行われた、基地建設の賛否を問う住民投票について教えてください」

東恩納琢磨議員(以下、東恩納・敬称略)「97年、私は土建会社に勤めていました。どちらからというと、基地を建設する側。当時、実際にキャンプ・シュワブ内の工事もやっていました。土木というのは公共事業ですから、地域が豊かになる、便利になるという仕事に誇りを持っていましたが、基地をつくるとなると、地域にとっては迷惑な施設なので、そういう仕事で生業をたてていくことに疑問が湧いて、本当にそれでいいのかと思うようになりました。

 反対しても、建設されてしまうのではないかという思いは、ありました。人口の少ない場所ですし、東海岸側は過疎化が進むところです。でも、反対する意志は示さないといけないということで、住民投票で決めようと、市民にとって大切なものは市民が決めるというスローガンで。それで決着を付けて負けたら、土建屋に戻ってもいいのかなと思っていました。住民投票の間は、それに専念したいということもあって、会社を辞めました」

比嘉元市長が、東京で記者会見「基地受け入れを表明」

東恩納「住民投票の結果は、NOという民意でした。当時の比嘉鉄也市長が民意を踏まえて、基地建設にはNOと言ってくれると思っていたんですが、3日後、東京に行った比嘉市長が、東京の官邸で受け入れ表明をし、そして、市長を辞任したんです」

IWJ「それまで、比嘉元市長は基地建設に対して、どういう立場を取っていたのですか」

東恩納「1996年に名護市の名前が取り沙汰された時には、市民大会をやって反対を示していました。その市長が、住民投票後に変わってしまったんです」

IWJ「仲井真前知事のようなケースが、すでにあったということですね」

東恩納「全く同じシナリオです。東京で受け入れ表明をし、辞任。東京に行って、官邸で辞任記者会見をするというのは、人質に取られて、『お前、言え』と言わされたような感じです」

※琉球新報:1997年12月24日 海上基地受け入れ

市長選挙で敗北、土建会社を退職後、エコツーリズムに

IWJ「反対の民意を示したのに、手のひらを返すように一転した。住民投票条例の制定から関わっていた東恩納議員が、議員になろうと思ったきっかけは、そこにあるのですか」

東恩納「住民投票が終われば、元の仕事に戻ろうと思っていたのですが、比嘉元市長が受け入れ辞任をしたことで、今度は、市長選挙が始まりました。市長選挙まではがんばろうと。そこで、相手候補が勝ち、『基地問題は終わった』『ノーサイドだ』と言って、反対を訴えた候補は破れました。

 容認派の市長が選ばれたことで、住民運動をしていた地元の人も、(諦めの気持ちから)引いていってしまった。反対をしていた私は、戻りづらくなったというのもあって、豊かな自然をいかしたエコツアーを模索しました。ちょうど、『エコツーリズム』という言葉が流行りだした1997年、8年頃です」

カヌーで阻止行動を発案したのは、東恩納議員だった!

IWJ「後ろにあるカヌーは、その当時使っていたものですか」

東恩納「カヌーを集め始めたのは2000年ぐらいからです。カヌーだと、阻止行動ができるんです。カヌーは、要するに、歩行者と一緒。エンジンがついてないから、取り締まりや規制の対象にならない。佐世保の米軍基地に反対してる人たちがヨットで阻止行動をしているという話しを聞いて。ヨットは無理だけど、カヌーならできるかなと。

 全国から、カヌーオーナーを募集しました。カヌーを持ってる人はいますが、狭い団地やアパートで保管するのも大変だし、こちらで預かって、もちろん、オーナーはこちらに来た時に乗ってくださいと。使わない時はこっちで、環境教育や反対運動で使わせてくれないかという了解を得て。反対運動を視野に入れて集めて、5艇集まりました」

IWJ「今、大浦湾海上で抗議をしているチームは『辺野古ブルー』という名称で活動していますが、東恩納議員はその先駆者だということですね」

東恩納「海でのボーリング調査が始まった時に、船で抗議していた仲間もいたが、何も手出しができなかった。船は乗れる人数も限られる。カヌーは免許も必要ない。身体1つで、多くの人が参加できる。97年の住民投票で示した名護市民の民意が、拠り所でした。その民意を無視して建設するのはおかしい。だから抗議をした。私たちには、抗議する権利があると」

稲嶺進名護市長誕生の背景

IWJ「2010年に、基地建設反対を掲げた稲嶺進名護市長が誕生した時は、どんな思いだったのですか」

東恩納「それまでも2度、市長選挙があり、その都度悔しい思いをしていました。革新から反対派の候補が2人出てしまって、それで負けた時が一番悔しかったですね。一本化してたら勝てたのではないかと、あれを踏まえて、2010年の(稲嶺市長の)一本化に結びつき、稲嶺市長を誕生させました。2010年までは選挙のたびに負けて、これでもかと打ちのめされてきましたが、それでも、97年の住民投票の民意がそれを覆した。

 その当時は、国も強引にはしなかったですよ。2004年に海上で阻止行動をしていた時も、海上保安庁は『危険のないようにしてくれ』と言うくらいだった。今のような、強引なやり方はしなかった。当時から比べて、県知事も、名護市長も反対なのに、国は強行にしてくる。考えられない」

IWJ「稲嶺市長については、どう評価されていますか」

東恩納「愚直、信念を通す方。それは、幼年期に貧乏で苦しい思いをしたからだと思います。この辺は、裕福な暮らしではなく、いっぱいいっぱいの中で培われた信念を持って、(稲嶺市長は)誕生したんだと。政府に、きれいごとを言われても『NO』だという。それは変わらない。この地域から生まれたという信念があるんだと思います。揺らぐことはない。日に日に、力強く、頼もしく思っています。子どもたちに、負の遺産を残すわけにはいかないという視点で、政府と向かい合っている。力強く思っています」

反対派の市長がもたらした、基地に頼らない地域力

IWJ「稲嶺名護市長が誕生してから、地域経済で大きく変わったことは」

東恩納「基地に頼らない町づくりには、地域力をどう高めていけばいいのか。高めていくためには、地域が、自分たちで考え、自分たちで作り上げていく『地域提案型事業』を起こさないと地域は活気づかない。市長は『地域提案型事業』を提唱し、地域から上がってきた企画に対して、市が補助金を出して行く。そして、地域は、その補助金をどう使うのか、いろいろなアイデアを出す。うちなーぐちでいうと『じんぶん』と言いますが、知恵を出そうと、地域おこしに取り組み始めたことです。

 (稲嶺市長の)1期目は、再編交付金を拒否しました。拒否というか、国が切ってしまった。1期目はそのやりくりがあったが、2期目からは市長独自のカラーが出てきて、それが地域の活性化にも繋がっている。

 米軍再編交付金は出来高払いで、進捗状況によっても変わりますが、(金額にすると)1億とか2億。札束で頬を叩くようなやり方でしたが、それを稲嶺市長は、真っ向から要らないと。全国、どこの市町村でも、基地に関係なく、補助金はあります。当たり前にあるものを、沖縄では基地がないから補助金がないというのは通じないと思います。

 米軍再編交付金は、防衛省から出ます。しかし、他にも省庁はある。(稲嶺市長は)他の省庁から予算を取ってきたんです。ただ、負担が違う。防衛省の予算は100%です。地元は何も考えなくていい。防衛省が逆に、こういう風に使ったらいいお金がありますよと。職員は何も考えなくなる。企画もしなくていい。稲嶺市長はそうではなく、職員力も高めながら、他の省庁から予算を取ってきて、しかも、負担金もあるんだから欲張っちゃいけないと。本当に必要なものを、補助金で賄うんだと。持続できる事業を企画して、作っていくことをやり、それが今、実ってきています。補助金を受けて企画した事業が収益を上げ、市の税収にもなってきている。市の税収も1期目と比べて上がってきています」

稲嶺市長の権限で遅らせている建設工事

IWJ「稲嶺市長は手のひらを返すことはないと」

東恩納「最初の頃は、そういう話をする人もいましたが、今はいなくなりました。そのくらい力強く、頼もしく思っています」

IWJ「翁長県知事は、あらゆる手法を使って、基地建設を阻止すると、埋め立て承認に瑕疵がなかったか検証していますが、名護市長の権限で、基地建設を止めるという具体的な考えが、稲嶺市長にあるのか、すでに実行しているのですか?」

東恩納「市長権限として、河川の切り替えに対してNOと言っている。埋め立て予定地に流れている河川を変更するには、市長の手続きが必要。稲嶺市長は、それは同意しないということで、(防衛局は)設計変更をせざるを得ない。

 (作業で使う)港も、名護市の漁港です。それを使うためには、市長の許可が必要。資材を港から直接運び込むことができない。だから、(防衛局は)基地の中から運ぼうとしているんです。だから時間もかかっている。稲嶺市長の許可が下りないから、工事が少しずつ遅れてきています。

 また、(埋め立てのための)土砂を取るところには文化財があって、その文化財の調査をする必要があると。その間は、土砂は取れないということもあって、土砂の搬入も遅れます。国は今、どこから土砂を持ってこようか考えているのではないでしょうか。稲嶺市長は市長権限を行使して、建設を遅らせているのが事実です」

IWJ「翁長県知事と稲嶺市長は協力関係にあるのでしょうか」

東恩納「想いは一緒だと思います。地元の県知事と市長がNOと言っているのは、国にとってはプレッシャーになっていると思います。それを隠すかの様に強行に走っていますが」

ゲート前での米軍による拘束事件

IWJ「2月22日、キャンプ・シュワブのゲート前で、山城さんが拘束・逮捕された事件についてのお考えを」

東恩納「異常な出来事だったと思います。米軍の警備がやったということは、フェンスの向こうで笑うような表情を浮かべていた憲兵が、(反対行動を)無視できなくなっている。拘束、逮捕については人権問題なので、これから訴えていこうという取り組みも始まっています。30団体で(あの事件が)人権問題だという書簡を、アメリカ大統領やアメリカ大使館、沖縄在米軍人に送ると聞いています」

IWJ「山城さんたちに逮捕状が示されていないことは異例のケースだと、弁護団の弁護士は話しています。今後、刑事特別法が濫用されないためにも検証が必要なのでは。市議会にそうした動きはありますか」

東恩納「市議会ではそうした動きはありませんが、人権団体には取り上げてもらい、弁護士に、法的な立場で検証してもらいたい。軍の警備が、山城さんの両足を何人で引きずり出した。逮捕状もない。あれは拉致と一緒。日本の法律が及ばないところに連れていって、手を後ろに回して、手錠をかけた。犬猫と同じ扱いです。これについては、私も、一般質問で取り上げる予定です」

日本国民が問われている「だだをこねている総理大臣を、いつまで置くのか」

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2015/03/07 【沖縄】IWJのカメラが大浦湾海上へ! 国の埋め立て工事が頓挫する可能性?! 沖縄平和市民連絡会・北上田毅氏に聞く――ぎぎまき記者による沖縄取材3日目(3月7日)

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※3月10日テキストを追加しました!

 新基地建設に伴う埋め立てに着工したい沖縄防衛局は、間もなく、海底ボーリング調査を再開しようとしているが、そもそも、辺野古海上での建設作業は順調に進んでいるのだろうか。

 毎週土曜日は、防衛局の作業が休みのケースが多いといい、海上保安庁のゴムボートも見られない。海上行動を続けるカヌー隊「辺野古ブルー」のメンバーらは、3月7日の土曜日、攻防戦のないチャンスを活用し、作業の進捗状況を確認するために、静かな大浦湾へと漕ぎ出した。中には、ボーリング調査のためのスパッド台船によじ上るメンバーの姿も見られた。

 この日、IWJは、メンバーたちの安全や進行をサポートするための並走船の1隻、「ラブ子」に乗船。船長の北上田毅氏(沖縄平和市民連絡会)に、防衛局による海上での作業状況や問題点などの解説をお願いした。

 7年前に京都から移住してきたという北上田氏は、長年、土木の技術屋として働いてきた経験をいかし、県や防衛局に情報公開を求め、工事の設計書などを開示させてきた。

 防衛局が岩礁破砕許可の区域外に、コンクリートブロックを投入した問題を指摘したのも、北上田氏を中心とした市民らの働き。一気に、防衛局の規則違反の可能性が浮上し、翁長雄志県知事は、破砕許可の取り消しを示唆。取り消された場合、防衛局は、ボーリング調査などの海上作業を実施できなくなるという事態に発展している。

▲スパッド台船によじ上る「辺野古ブルー」のメンバー

  • 記事目次
  • 陸と海で連携する基地反対抗議行動
  • 翁長県知事誕生で一歩進んだ情報公開
  • 立ち入り禁止区域へ侵入する阻止行動は是か否か
  • 「一部の過激派が抗議している」という防衛局や海保の主張
  • 北上田氏らが公にした、防衛局の規則違反の可能性
  • 稲嶺市長の権限で頓挫した工事計画の数々

  • 日時 2015年3月7日(土) 8:30頃〜
  • 場所 辺野古海上(沖縄県名護市)

陸と海で連携する基地反対抗議行動

 資材等の搬入や作業スペースを確保するため、辺野古漁港を使用したい防衛局だが、使用にあたっては、稲嶺進名護市長からの許可が必要だ。基地建設に反対する市民の付託を得て当選した市長のもと、漁港の使用許可は下りていない。もくろみが外れた防衛局は、キャンプ・シュワブ基地内から資材の搬入を行わざるを得ない状況になっている。

 そこで、陸からの資材搬入の阻止を試みているのが、連日、ゲート前に泊まり込みながら抗議行動を続けている市民たちだ。この海と陸の連携により、防衛局に対するプレッシャーは日に日に増している。この日、カヌー隊がスパット台船に乗り込んだ姿を確認した市民らは、キャンプ・シュワブの第3ゲート前に集結。陸から海へと声援を送り、その声は、海上からもはっきりと聞き取ることができた。

翁長県知事誕生で一歩進んだ情報公開

▲操船しながら防衛局の作業状況について解説する、沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏

IWJ「北上田さんは、関西から沖縄へ移住したとお聞きしました」

北上田毅氏(以下、北上田・敬称略)「退職後、7年前に家族全員で京都から沖縄に移住しました。下の息子が琉球大学を出て、沖縄の女性と結婚しました。私も、沖縄で最後まで暮らす予定です。

 もともと、木の技術屋だったので、高江や辺野古について、情報公開請求を続けて、工事の設計書などを開示させてきました。それを見て、どこでどういう作業があるのかを検討する。今は、船長として、船で海に出て、カヌー隊のサポートをしながら、陸上と海上での防衛局の作業をチェックしています」

IWJ「防衛局による工事の進捗について教えてください」

北上田「昨年(2014年)8月頃は、浅い場所での海底ボーリング調査が行われ、それに対してずっと阻止行動をやってきました。ところが、10月の大きな台風で防衛局が設置していたフロートが流されたり、知事選と衆議院選挙が続いたこともあって、ずっと、作業はストップしていました。

 そして、今年1月15日、浮き桟橋やフロートの張り出しが始まり、海保も出てくるようになりました。1月27日からは、大型の作業台船が来て、ボーリング調査の準備が始まり、今後、12カ所の調査が行われる予定になっています」

IWJ「情報公開請求をしたことで、明るみになった重要な事実はありますか」
北上田「防衛局はややこしいことになると、真っ黒な炭塗りで出してくるので、詳細がなかなか分かりませんが、県と防衛局両方に、情報開示を求めると、不一致することがあります。

 例えば、昨日(3月7日)に新聞で大きく取り上げられた、高江の北部訓練場の県道70号についてですが、この県道を、米軍の専用区域にする動きが去年の夏くらいからあった。(そうなれば、座り込みを続ける市民を強制排除できる法的な環境が整う可能性がある。)

 しかし、この県道は、1990年から日米の共同使用になっていることが分かって、県道の使い方や解除の条件について公開請求をしたら、防衛局は県に対して、『出すな、非公開にしてくれ』と申し入れた。しかし、県はそれでも、公開決定しました。

 開示決定から実際に開示するまで、2週間の間を空けることになっていて、本当は昨日(3月7日)の朝9時に開示されるはずでしたが、3月4日に防衛局が県を相手に裁判を起こしました。開示決定を取り消せ、と。同時に執行停止の申し立てもして、裁判所がそれを認め、開示は止まってしまいました。

 米軍の施設に関する情報であれば、米軍の信頼が損なわれるという理由で拒否をするならまだ分かりますが、誰でも通れる県道の使用をめぐる協定が、なぜ、不開示の情報になるのか。裁判をして、もしも情報が出てきたとしても、大した情報ではない。

 しかし、国は、米軍と日本政府のトップ同士の間で開かれる、日米合同委員会で決まったことは全て出さないとしているから、たとえ県道のことであっても、出さないのでしょうね」

IWJ「翁長県知事が誕生してから、国と県の関係は、変わってきているのでしょうか」

北上田「そうですね。情報公開の姿勢なんかでも、仲井真前知事の時に請求して、黒塗りにされていたものを、翁長知事になってから、状況が変わったので開示しますと、黒塗りにしていた図面を出してきた例もある。次第に、様子は変わってきています」

立ち入り禁止区域へ侵入する阻止行動は是か否か

▲「ラブ子」に牽引され、フロートを越えるカヌーの隊列

IWJ「今日は防衛局の作業が行われていませんが、北上田さんや、カヌー隊が海上に出る一番の目的は何ですか」

北上田「作業がないということは、現場に出て初めて分かります。もし、ボーリング調査をするスパット台船が動き、固定されたら、海底ボーリング調査が行われます。ボーリング調査はやらせない。台船が動きだしたら何とか阻止したいと。でも、今日はたぶん出ないと思いますが」

IWJ「今、防衛局が立ち入り禁止区域から出るように注意していますが、それについては、どう反論しているのですか」

北上田「(立ち入り禁止区域となっている)『臨時制限水域』の決め方についても、いろいろとおかしな点があって、納得はできませんが、基本的に、沖縄県民の総意が工事の強行について反対をしているわけですから、できるだけ工事現場に近づいて、抗議の声を上げ、異議申し立てをしたいと。今のところは、海保も、刑特法を適用できる状況でもない。反対運動や県民の声が高まっていますから。実質的には、この臨時制限水域の立ち入り禁止については、形骸化しています。

 ただ、これから政府の姿勢が変わっていった場合は、(刑特法の適用も)あり得ると思います」

「一部の過激派が抗議している」という防衛局や海保の主張

▲立ち入り禁止区域からの引き上げを求める沖縄防衛局

IWJ「海上保安庁や防衛省の職員が、東京で行われた政府交渉の場で撮影を不許可にしたことがありました。一部の過激派から、自分たちの身を守るためという主張でした。それについては?」

北上田「民主的な方法で、すべてのことを沖縄県民はやってきた。(オスプレイ配備撤回、普天間基地県内移設の断念を求める)建白書を全市町村長で政府に提出して、県議会でも何度も反対決議をあげて、10万人を越える県民大会もやった。そして、名護の市長選でも2回勝っている。去年(2014年)の名護の市議の補選、知事選、(衆院選)すべて辺野古反対で、県民の民意は、はっきりしている。それにも関わらず、政府の方が翁長さんにも会わない。

 沖縄県民の意志は無視する、という姿勢が露骨。それでも、政府は、『粛々と工事を進める』としているから、非暴力の手段で抗議の意思表示をしている。カヌー隊は、全員出しても20名ほど。しかし、こういうことができるのは、一番に県民が支えているから。キャンプ・シュワブのゲート前と海上で連携してやっている。沖縄では、『一部の過激派が』という話は一切出ていないですよ」

※2015/01/23 市民は過激派?! 辺野古から遠く離れた東京で我が身を守る、海保・防衛省職員らが撮影拒否〜新基地建設問題で福島みずほ・山本太郎議員が辺野古での過剰警備を追及

▲キャンプ・シュワブ第3ゲートから作業現場を見おろす市民。海上にいるカヌー隊に声援を送る

▲海上から見える第3ゲート前の様子

北上田氏らが公にした、防衛局の規則違反の可能性

IWJ「今、岩礁破砕の許可をめぐって、県と防衛局が対立していますが、解説をお願いします」

北上田「沖縄県には、水産資源保護のための、『漁業調整規則』というものがあって、漁業権が設定されているところでは、海底に何かを置いたり、海底を改変する行為は岩礁破砕の許可を申請する必要があります。知事が申請内容を審査し、許可を出すわけですが、この海域一帯はその手続きが必要です。

 昨年(2014年)8月28日に、県は防衛局に対し、埋め立ての区域内での岩礁破砕許可を出しました。しかし、防衛局は今年に入って、(埋め立て区域の外に)オイルフェンスやフロートを張り巡らせ、その下に、大きなコンクリートブロックを投入しています。

 許可申請の外側での行為について、私たちはずっと県に話をしていましたが、やっと1月16日に、県が防衛局に対し文書を求め、現地調査にも入りました。

 岩礁破砕の許可の中には、許可条件というものがあって、範囲外での行為や許可条件に反した場合、許可そのものを取り消すという条件があります。つまり、許可の範囲外で、コンクリートブロックの投下が確認されれば、県は、漁業調整規則にのっとって、現状復帰を命じることもできるし、許可そのものを取り消すこともできるのです。翁長知事が毅然とした対応を取れば、防衛局は、昨年12月に仲井真前知事が承認した埋め立て工事に伴う作業を一切できなくなります」

▲休憩中に談笑する「辺野古ブルー」のメンバーたち

稲嶺市長の権限で頓挫した工事計画の数々

IWJ「稲嶺進名護市長の権限で止まっている、工事の内容とは?」

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2015/03/08 【沖縄】「基地が好きだから容認しているわけじゃない」――街角インタビューで聞いた、県民それぞれの胸の内~ぎぎまき記者による沖縄取材4日目(3月8日)

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 「(基地建設の)容認派は、本当に容認しているわけではなくて、(基地は)無い方がいいと思っています。基地が好きだから容認しているわけじゃありません」

 沖縄取材最終日の3月8日、キャンプ・シュワブのゲート前は、「島ぐるみ」(沖縄建白書を実現し未来を拓く島ぐるみ会議)バスに乗ってきた市民で溢れた。参加者が、国道に向けて「基地反対」のプラカードを掲げると、素通りする車両が大半だが、中には、手を振ったり、クラクションを鳴らし、呼応する運転手も少なくなかった。ゲート前での座り込み抗議は、すでに240日を超えた。地元にすっかり定着しているように見える。

 しかし、「基地反対」という点で共通していても、反対する理由や抗議に込める想いは、個々によって異なる。また、ゲート前から一歩離れると、考え方の幅はさらに広がり、基地を容認する県民の本音も聞こえてきた。IWJは、ゲート前にいた参加者のインタビューのほか、抗議行動の現場にはいない市民の、基地に対する想いを聞いた。
(IWJ・ぎぎまき)

みんな同じ島んちゅだからね

▲大浦湾で釣りを楽しんでいた2人。男性は久米島、女性は那覇市出身

女性「基地の問題はね、沖縄には産業があまりないから、基地で食べている人が沖縄には多いし、なくならないと思うよ。反対する気持ちは、分からないわけじゃない。こんな奇麗な海が汚れていくのが、一番嫌だよね。米兵の事件も嫌だね。何も分からない少女たちが、被害を受けたりね。交通事故を起こしたって、本国に帰ってしまえば、罪にも問われない。

 大きなホテルができても、働いているのは沖縄の人たちばかりじゃなくて、内地から来る職員も多いと聞くし、沖縄にちゃんとお金が落ちるような仕組みがないとね、基地はなくならない。沖縄県民だけで解決するのは無理な話だと思うよ」

男性「何とも言えないね。基地がなくなったら、沖縄は荒びれるよ。『反対、反対』て言っていても、お金がついてくるわけじゃない。

 反対と賛成が喧嘩すると辛いね、同じ、島んちゅだから。でも、基地で食べてる人はいっぱいいるよ。『基地反対』、『首きり反対』は矛盾してるじゃん。辺野古にできなかったら、別の場所にできるわけだから。日本全体でこれだけの基地を持ちなさいと、アメリカとの間で決まってる。だから、沖縄に押し付けてるわけでしょ。一番いいのは、基地が全部なくなることだよね」

本当はゲート前に行ってみたいけど、できない

▲ほぼ毎日大浦湾に出て、カヌーの練習をするという女性。2014年7月に東京都町田市から移住した

女性「息子が10年前に沖縄の女性と結婚した影響もあって、主人と一緒に東京から移住しました。基地問題については知っていましたよ。息子から聞いていました。

 私も、気持ちとしては(基地建設に)反対です。毎日海に出ていますから、この奇麗な海は残さないといけないと痛切に感じますよね。ただ、住み始めて分かるのは、地元の人たちの間にあるしがらみ。それを肌で感じます。私は新参者ですし、気持ち的には反対ですけど、公には言えないかなぁ、というのがあって。この地域の集会でも、基地問題の話は一言も出ないって。それが全てなんじゃないでしょうか。ここで暮らすということは。

 ゲート前に行って並んでみたいと思うんですけどね、ちょっとできない。息子もそうですよ。基地には大反対なんですけどね。その思いはブログなどで訴えてるみたいですよ。

 来たばかりの頃は、後ろに何もなかったのに、ブイが打たれたり、テトラポッドが見えるようになったり、埋め立ての工事現場が現れたり。最近は大きな台船が来て、オイルフェンスが張られたりね、日に日に景色が変わるんですよ。それが、とても辛いです。

▲カヌーを漕ぐ女性のうしろには、クレーン台船やフロートが見える。「日に日に景色が変わっていく」

10メートルも離れれば、考え方は違う

 キャンプ・シュワブのすぐ裏には辺野古区が隣接する。この町に住む1700人の住民は、新しい基地が建設されたら、一番に影響を受ける。もともと、町の発展のために基地を誘致したという背景もあり、住民感情は複雑だ。辺野古区を歩いていても、積極的にインタビューに応える住民は多くはない。1700人のうちたった2人の意見だが、貴重なコメントを紹介したい。

60代男性「10メートルも離れれば、考え方は違うからね。(基地は)できたらない方がいいさ。抗議行動のやり方だけど、彼らは『反対、反対』しか言わない。

 民主主義を守ろうとか、自然を守ろうとか、やればいいと思うよ。それを、日本政府に訴えても何もならない。米国に訴えなければ。向こうは民主主義の国だし、自然保護を大事にしている。日本政府にいくら言っても無駄。誰も聞かない。効き目がない。

 私は那覇出身で、もともと、ここの人間じゃないから。よそ者は言いにくいよね。ここで生まれ育ったなら、反対してもどうってことないわけ。もし、工事が始まって、戦闘機が頭上をびゅんびゅん飛ぶようになったら、逃げるかもしれないね(笑)。経済的に余裕があればさ。

 この町で、(基地問題について)喋りたいと思う人は、なかなか、いないんじゃないかな。今は私とあなた以外に誰も回りにいないから話してるけど、誰かが近くを歩いていたら、私も話さない(笑)」

▲辺野古区の町並み。1957年に米軍基地建設工事が始まってから、小さな村落は基地の街として栄えていった

米兵は私たちと一緒に生活をしてきた人です

60代女性「座り込みをしている人たちは、県民の総意を100%分かっているわけではないですよね。じゃあ、移設先はどうするのか。宜野湾市の住民の気持ちは。

 反対する彼らの気持ちは、分かりますよ。でも、辺野古区の住民は騒がない。静観しています。基地ができた場合の騒音についても、国は考えますと言っている。区民の98%は、宜野湾市の真ん中にあるよりは、海にある方がいいんじゃないか、という意見ですよ。

 私は那覇市の人間で、主人がここの人。シュワブができたおかげで、この辺にも店ができて、米兵も来てくれる。米兵は私たちと一緒に生活をしてきた人です。ここの商売を誰が守ってくれるのかしら。テントの人たちが、歌ったり騒いだりしても、解決にはならない。容認派は、本当に容認しているわけではなくて、(基地は)無いなら無い方がいいと思ってる。基地が好きだから容認しているわけじゃない。

 なかなか、言葉に出して、基地があった方がいい、ない方がいいというのは難しい。来ない方がいいと言ったら、宜野湾の人に気の毒だし。はっきりものが言えないのも心情。判断もしにくいしね。夏から埋め立てが始まるというから、強気ですよね、安倍首相は。やるなら、辺野古区民の生活や安全を守って欲しい、というか、守りなさい」

「反対」を大声で言わなくていい、近所付き合いを大事にして欲しい

▲毎朝8時頃から始まる、ゲート前での抗議。後ろで、アメリカ国歌が流れる時間だ 

▲翁長久美子名護市議会議員。座り込みが始まってから、40日以上、テントで寝泊まりしたことから「寝袋議員」のあだ名がついた

翁長久美子市議会議員「本音では、『基地反対』でも、表に出しにくかったら、出さないで欲しいと私は思います。毎日の生活で、近所づきあいは大切です。代々、関係に禍根を残すようなことがあっては、辛いですから。市議という立場にある私たちは、声をあげるのが役割です。

 基地で働く警備員や県警の機動隊も、『やらされている身』で、同じ県民ですから、理解し合いたい相手です。でも、攻防の時に、にやにやしたり、暴言を吐かれるなど、ふざけた態度を取られると、理解し合いたいという気持ちを超えてしまうのも事実です」

読谷村の村長に手紙を書いて、辺野古までのバスを運行してもらうことに

▲子どもたち3人を連れて、ゲート前に訪れていた女性。兄は米軍基地の消防で働く

女性「今年(2015年)の1月半ば、夜間の資材搬入で騒動になった時、ゲート前にいた夫が県警にごぼう抜きされる姿が、ネットに載ったんです。私は、中継を見ながら泣いていて、何かしなくてはいけないと、読谷村の村長さんに手紙を書きました。読谷村自身も、基地反対の民意を示して、何か動いて欲しいと伝えました。

 2週間くらいして、村長から私宛に手紙が届きました。その翌週には、『辺野古を作らせない議会』が立ち上がって、読谷村発で辺野古行きのバスが出るようになりました。

 私の兄は米軍基地の消防で働いています。いとこのお兄ちゃんもおじさんも、軍関係の仕事です。私がこういう活動をしていることは、言いづらかったです。でも、みんなの顔色をうかがっている間に、新しい基地を子どもたちに残すことになっては嫌なので、参加しています。

 基地関係の仕事をしているからと言って、基地を容認しているわけではなくて、辺野古の海に新しい基地を建てたらだめだという人もいます。老朽化が進む他の基地を、一括新品にして、軍港機能も付与されると。耐用年数は200年。普天間飛行場の『移設』ではなく、新基地建設なんです。基地で働いている人の中には、危機感を感じている人も沢山います」

こんなことを本土でやったら、みんな黙ってないですよ

▲名古屋から2週間前に駆けつけたという男性。「山城博治さんとは同じ年なんです」

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2015/04/03 【沖縄】辺野古で名護署に逮捕された船長・仲宗根和成氏インタビュー(動画)

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 2015年4月3日(金)、沖縄・辺野古での抗議行動で船長を務める仲宗根和成氏へのインタビューを行った。3月31日、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で公務執行妨害容疑で逮捕された仲宗根氏は、那覇地検の勾留請求が4月2日に那覇簡裁により却下され釈放されている。

  • 日時 2015年4月3日(金)10:50~
  • 場所 沖縄県名護市 辺野古
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2015/04/04 【沖縄】IWJ中継市民による普天間米軍基地爆音訴訟団事務局次長 桃原功・宜野湾市議インタビュー(動画)

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 2015年4月4日(土)、沖縄県宜野湾市の米海兵隊キャンプ瑞慶覧(ずけらん)西普天間住宅地区で行われた返還式典後、式典に列席した桃原功(とうばる・いさお)宜野湾市議にインタビューを行った。

  • 桃原功(とうばる・いさお)氏(沖縄県宜野湾市議、普天間米軍基地爆音訴訟団事務局次長)
  • 日時 2015年4月4日(土)16:50頃~
  • 場所 米軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)西普天間住宅地区前(沖縄県宜野湾市)
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2015/04/25 【青森】統一地方選 六ヶ所村村議選 菊川慶子候補 密着取材(動画)

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 2015年4月25日(土)、核燃料サイクル推進に反対して青森県六ヶ所村の村議選挙に立候補している菊川慶子氏(無所属、「花とハーブの里」経営)の選挙運動最終日の模様を密着取材した。

■Ustream録画
・1/2(再配信映像 45分間)密着取材

・2/2(15:46~ 45分間)インタビュー

  • 日時 2015年4月25日(土)8:00〜
  • 場所 青森県六ヶ所村内

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2015/04/29 【大阪】IWJ関西記者による、森裕之・立命館大学教授インタビュー ―テーマ 「大阪都構想」について(動画)

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 2015年4月29日(水)、立命館大学大阪いばらきキャンパスで、IWJ関西記者が森裕之・立命館大学教授にインタビューを行い、「大阪都構想」について聞いた。

  • 日時 2015年4月29日(水) 16:15~
  • 場所 立命館大学 大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市)
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■関連記事(大阪市 特別区設置協定書住民説明会)

2014/11/12 【青森】「なくそう原発・核燃あおもりネットワーク」共同代表・大竹進氏、山田清彦氏へ原子力防災に関する自治体アンケート集計結果報告と分析についてインタビュー

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 「なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク」が青森県内40市町村と北海道函館市に対して行った原子力防災に関するアンケートの集計結果報告と分析について、12日(水)16時から、IWJ青森が共同代表の大竹進氏と山田清彦氏にインタビューを行った。

(録画配信映像 39分間)

  • 収録日時 2014年11月12日(水) 16:00~
  • 配信日時 2014年11月13日(木) 20:30~
  • 場所 青森県保険医協会(青森市)

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2015/05/01 【大阪都構想】市の財源が4分の1に減少、暮らしは不自由になり、府が吸い上げた財源は無駄な公共事業へ!?「都構想は、百害あって一利なし」日本共産党・清水忠史衆院議員が警鐘(聞き手:柏原資亮記者)

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特集 大阪都構想

※5月8日テキストを追加しました!

 「5月17日は運命の日だ。126年間続いた政令指定都市の大阪市を廃止していいのか」──。

 橋下徹大阪市長が提唱する大阪都構想に向けて、大阪市24区を特別5区へ改編することの是非を問う住民投票が、2015年5月17日に行なわれる。日本共産党の清水忠史衆院議員は、「大阪都構想によって行政5区になると、税収はタバコ税、軽自動車税、住民・市民税だけになり、財源は4分の1に減る。権限も弱くなり、より不自由で貧乏になり、特別苦しい行政区になってしまう」と語気を強めた。

 大阪都構想に断固反対を表明する清水議員に2015年5月1日、大阪市内でIWJの柏原資亮記者がインタビューを行い、大阪都構想と住民投票の問題点を聞いた。

 清水議員は、特別区への改編で大阪府が吸い上げた財源を、無駄な公共事業に回すことになると訴え、「淀川左岸線高速道路二期工事、なにわ筋線新規地下鉄工事、リニア中央新幹線の名古屋・大阪間の同時開通、カジノ建設などに使われて、住民サービスがなおざりになる。大阪都構想は、百害あって一利なし」と断言した。

 市民、府民の生活が良くなるなら反対はしないが、という清水議員は、「しかし、特別区になると、国民健康保険事業は一部事務組合に委託される。組合は大阪府の下、行政区の上の組織になるため、三重行政に等しく、区は一般会計から補填できなくなり、区民1人当たり年2万円以上、健康保険料が上がる」と述べた。

 また、カジノ誘致について清水議員は、日本のギャンブル依存症者は536万人という厚労省の調査に言及し、すでに日本はギャンブル大国で、競馬、競艇、競輪、オートレース、パチンコがあるとも指摘。「人の懐から金を巻き上げ、人を不幸にすることもあるカジノの利益を、福祉や暮らしに回そうという発想はおぞましい」と一刀両断にした。

 柏原記者が、「もし、住民投票で反対多数になった場合、今回あぶり出された大阪の問題を立て直すきっかけにもなり、大阪市は良くなるのではないでしょうか」と尋ねると、清水議員は、「もちろんです。今の大阪市の現状のままでいいわけではない。壊すのではなく活かして、良いものに直していく」と答えた。

 そして、「とにかく、橋下市長の人気投票だけには、してはならない」と力を込めると、大阪市民に住民投票への参加を呼びかけた。

  • 清水ただし(清水忠史)氏(衆議院議員、日本共産党大阪府委員会副委員長)
  • 日時 2015年5月1日(金)14:00〜
  • 場所 日本共産党大阪府委員会(大阪市天王寺区)

権限、財源が減少、より不自由で貧乏になる特別区

 清水議員は、5月17日の住民投票について、「大阪市民にとって、運命の日だ。126年間、続いた政令指定都市の大阪市を廃止していいのか」と語気を強め、その住民投票には(成立条件に)最低投票率の決まりがないため、どんなに投票率が低くても、たとえ1票差でも、賛成多数になれば政令指定都市の大阪市は2年後には廃止される、と危機感を表明した。

 そして、「大阪維新の会は、大阪24区を5つの行政区に再編するのが狙いで、大阪市の財源と権限を大阪府が握り、橋下市長はそれをむしり取る」と表現した。

 都市計画税、固定資産税、法人市民税、事業税は大阪府に移り、行政区には、タバコ税、軽自動車税、住民・市民税があてがわれて、現在の4分の1になるといい、「橋下市長は『財源調整で渡す』と言うが、その内容は協定書に明記されておらず、大阪府の裁量次第になる。権限、財源が減少、より不自由で貧乏になって、特別苦しい行政区になってしまう」と清水議員は指摘した。

健康保険料は、年間2万円以上の値上げに

 清水議員は、そうやって吸い上げた財源を無駄な公共事業に回すのだと述べ、「淀川左岸線高速道路二期工事、なにわ筋線新規地下鉄工事、リニア新幹線の名古屋大阪間同時開通、カジノ建設に使われる。住民サービスがなおざりになる。大阪都構想は、百害あって一利なし」と断言した。

 柏原記者は、「住民説明会でも、市民サービスの劣化を心配する質問が多数寄せられていたが、橋下市長は『大丈夫だ』と答えていた。協定書には、具体的なことは書かれていないのですか?」と清水議員に確認した。清水議員は、「市が作成したチラシや説明会では『特別区になっても税金は上がらない』としているが、公共料金は上がる」と言い、その根拠をこのように説明した。

 「国民健康保険料は全国で決まっていて、国は年々、健康保険の国庫負担分を減らしている。それでは高額で払えない人が出るため、自治体は一般会計から国民保険会計に繰り入れをして、国保財政を安く抑えている。これは市町村の裁量でできるが、特別区になると、それもできなくなる。

 特別区になると、国民健康保険事業は一部事務組合に委託され、大阪府の下、行政区の上の組織になる。これは三重行政に等しく、区は一般会計から補填できずに、1人当たり年2万円以上、健康保険料があがる。これまでにも橋下市長は、水道料金の福祉減免廃止、新婚家庭の家賃補助の廃止などを実施している。公共サービスへの不安を持つのは当然だ」

大阪WTCビルなど、過去の失敗を二重行政のせいに

 柏原記者が、「住民説明会で橋下市長は、交通機関などの二重行政が問題だと盛んに訴えていた。都構想が唯一の打開策のように言っていたが、都構想でなくても解決できるのではないか」と尋ねると、清水議員は、府立の大学、図書館、体育館などが、市立の同施設と重なって無駄だという橋下市長の主張に対し、このように反論した。

 「府立大学と市立大学では校風もカリキュラムも違う。府立体育館と市立体育館は、両方とも稼働率が高い。大相撲は府立体育館で開催し、市立体育館には陸上競技、スケートもできる設備がある。図書館は(府立と市立が)隣同士で建っているわけではない。二重、三重であろうとも、市民にとって必要であれば、いくつあってもいいのではないか」

 その上で清水議員は、「二重行政というより、彼らは二重サービスがいけないと言っている。大阪市民は、大阪府と大阪市の2つのサービスを享受していて、けしからん、と。しかし、大阪市民は市と府の両方に税金を納めているのだから当然ではないか」と述べ、最近は市民の理解が進んできたので、推進派は言い方を変えてきた、と続けた。

 「過去の失敗である、大阪府のりんくうゲートタワービル、大阪市のWTCビルを持ち出して、二重行政だからこんな無駄遣いをしたと言うのだが、それは行政の失敗であり、二重行政のせいではない。行政の失敗と、府と市が2つあるという仕組みの問題を混同しているのではないか」
【IWJテキストスタッフ・関根】

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■関連記事(IWJ関西 都構想インタビュー)

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2015/05/15 【大阪都構想】「科学者としての社会的責任を果たす」日本科学者会議大阪支部幹事会が「都構想」を批判する緊急声明を公表

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特集 大阪都構想

 橋下徹大阪市長をはじめ、大阪維新の会が掲げている「大阪都構想」の賛否をめぐり、推進派・反対派双方の議論が過熱している。

 「都構想」の一環として実施される大阪市民を対象とした住民投票が2015年5月17日に迫り、ここで、現在の大阪市を廃止して、5つの特別区に改編することの是非が問われることになる。「賛成多数」で可決されれば、これを元に戻す法律が存在しないため、大阪市は消滅することになるという。

 大阪市議会では、推進派の維新の会に対し、自民・公明・共産など、国政では与野党の関係にある政党がこぞって反対の姿勢を示し、「維新」対「自公共」の対立が浮き彫りになっている。

2015/05/10 【大阪都構想】維新 vs. 自公共が超党派勉強会で激論 ~市民からは「都構想」実現による「住民サービス低下」を案じる声が続出

 関西の専門家・有識者にも反対派が多く、5月5日には危機感を募らせた学者ら19名が会見を開き、「都構想」の危険性を論じた。

2015/05/05 【大阪都構想】「いろいろな声を自由に発してほしいと催促するのが大阪市長の役目だが、橋下市長は分断しようとする」――「都構想」の危険性を明らかにする学者記者会見

 この日の会見でも意見表明し、「都構想」に警鐘を鳴らしている一人である河野仁・兵庫県立大学名誉教授から、日本科学者会議大阪支部幹事会として、都構想に反対する声明文を、IWJに掲載して欲しいという依頼があった。

 これを受けて、IWJは5月13日、河野氏と同会幹事の山本謙治氏にインタビューを行ない、声明を出した経緯や、その意味を聞いた。

※日本科学者会議大阪支部HPより 「大阪都構想」についての批判声明

維新が主張する「二重行政解消」の詭弁

 「科学者としての社会的責任を果たす」ことを目的に設立された日本科学者会議は、平和・軍縮・環境保全など、人々の命と暮らしを守る、大学の自治を守るという観点から活動し、「大阪都構想」にも反対を表明している。

 山本氏は、今回の住民投票で問われているのが「大阪市を解体していいかどうか」ということなのにも関わらず「そういうことをまったく言わずに進められている」と批判。「大阪市解体」が前提にあることをふまえた上でどちらに投票するのか判断してほしいと訴えた。

 河野氏は、「都構想」が実現すれば「大きな痛手を被ることになる」と断言。「維新の会が、大阪市を廃止する理由に二重行政の解消を挙げているが、この論はかなり乱暴で無茶な議論」であり、そもそも、その定義が曖昧だと主張した。

 さらに、維新の会が例に挙げる二重行政の例は、住民にとっての「無駄な二重行政」とは言えず、「物事のある小さな一部分を取り出し、そこを大きく誇張することは、詭弁と言わざるを得ない」と批判した。

「大衆扇動型」で都構想を進める橋下・大阪維新の会

 橋下徹大阪市長らが、かつて、小泉政権が用いていたとされる「大衆扇動型」の手法で都構想を進めていると指摘する山本氏は、「市民を下に見ている。上から目線で煽動していくやりかたには問題がある」と主張。大阪市民がここで「反対」の意思を示さなければ、「大阪市は壊されてしまう」と危機感を露わにした。

 「自分たちで街をつくっていく力が大阪のみなさんにはあります」と山本氏は強調し、「その決意を持って反対という意思表示をすることが問われている」と語った。

 河野氏は、日本の民主主義、住民自治という観点から見ると、大手メディアが現政権の批判に弱いことにも言及。「萎縮しているのではないか」と疑問を呈し、「現政権について報じることと同じ量の反対の報道を流すべきだ」として、その点、IWJは政権に反対する報道を精力的に報じていることから、今回の要請につながったと話した。

 山本氏も「生の情報を現場から、賛成も反対も含めて、フィルターをかけずに自分たちが判断できるよう伝えている」とIWJを評価。「今の時代に最も必要な情報発信をしてくれている」とコメントした。
(取材:IWJ関西中継市民・松本理花、記事:IWJ・安斎さや香)

 

「大阪都構想」についての批判声明(PDF)  日本科学者会議大阪支部幹事会

【IWJ独占インタビュー】「死ぬ前にもう一度、言わなければ」ーー「私は反安倍さん」瀬戸内寂聴さんが「戦争法案」反対集会に参加! 若者たちへ「愛する人が殺されるということを想像して欲しい」

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 「戦争の生き残りは私を含めてわずかですから、死ぬ前にもう一度、言わなきゃいけないなと」

 去年1年間、病気で伏していたという、小説家であり天台宗の尼僧瀬戸内寂聴さんが、2015年6月18日、「戦争法案反対国会前集会」に車椅子姿であらわれた。

 第二次世界大戦を生き延びた寂聴さんは、今年で93歳。誰よりも強い危機感を持ち、「戦争反対」を訴えた。集会が始まる直前の時間を利用して、IWJは寂聴さんに単独インタビューを敢行。万全ではない身体を引きずってでも訴えたいことは何なのか。冒頭から堂々と「反安倍」を掲げた寂聴さんは、戦争を体験した生き残りとしての願いと怒りをカメラの前で語った。

ーー今日はなぜ、抗議集会に参加しようと思われたのですか。

瀬戸内寂聴さん「安倍さんが日頃、仰ることが、全部気に入らないので。私は『反安倍さん』です。

 このまま行ったら、日本は戦争をする国になります。安倍さんは、そうしようとしてらっしゃると思うんですけど、私は戦争の時にちょうど青春でした。辛い思いを色々しておりますから、どうしても今の若い人たちにそんな思いはさせたくない。

 戦争の生き残りは私を含めて本当にわずかですから、生き残っている人たちが死ぬ前にもう一度ね、言わないきゃいけないのではないかという気持ちです」

  • 日時 2015年6月18日(木) 18:00~ 参議院議員会館

北京で中国人と深くつき合った 中国人を嫌いになれない

ーー戦争という言葉が日常的に聞かれるようになったことに大変な危機感があります。思い出したくない場面も沢山あると思いますが、戦争を知らない私たちが戦争を具体的に想像するために、生き残りの一人として、戦禍の体験を教えてください。

瀬戸内寂聴さん「昭和18年、男子学生を戦争に行かせるために、男の子たちは半年早く、卒業することになって。私も東京女子大を半年早く卒業しました。私は婚約していましたから、すぐに夫について、北京に行ったんですね。だから、いわゆる空襲は知らないんです。でも、北京で終戦を迎えて、引き揚げてきました。その時に、満州の人ほどではないけども、やはり相当な苦労がありました。

 北京で、中国の人たちと深くつき合ったものですから、中国人の悪いところよりも、良さをずいぶん見ているんですよ。どうしても中国人を嫌いになれない。良くしてもらって、良い人たちばかりだったから。だから中国と戦争するということはもちろん嫌なんですよね。

 それと、帰ってきたら、徳島県でしたけど家は全部焼かれていて、母が防空壕で死んでいるんですね。祖父も防空壕で死んでいたんです。父親が大工の出身でしたから、自分でぽつんとする家を建てて、赤ん坊と私たち夫婦3人でしばらく居候していました。

 その時に、姉が一人、小さな男の子を抱えながら残っていまして、夫は戦争に取られて、満州からシベリアに連れていかれて帰ってこないんですね。戦後6年間も帰ってこなかったんです。その間の、姉の苦労も父親の苦労も見ていますから、自分自身や焼かれていませんけども、戦争の酷さというのは身にこたえています」

かつては「戦争反対」を訴える人間は非国民だと信じていた

瀬戸内寂聴さん「私は、優等生だったんです。天皇は神様だと思い、この戦争は本当に良い戦争だと思い込んでいました。東京女子大学は割とインテリの娘が多いですから、『この戦争はダメだ』とか、『間もなく負ける』とか言うんですよ。私は(そう言う人たちは)何て『非国民』なのかと思ったほど、ものを知らなかった。

 だけどやっぱり、自分が(戦争を)味わってみて、この戦争がいかに間違った戦争で、日本がとんでもないことをしたということが分かったんですね。そうすると、単純なものですから、そうなると今までの自分が信じられなくて、徹底的に根本から変えようと家を飛び出して一人になって、苦労しながら作家になったんです。戦争がなければ、私は良い奥さんで良い母親でね、すごせたと思います。

 戦争のバカさ加減がね、嫌になったんですね。東京女子大は割合、自由な考え方で教育をしてくれていたんですが、女学校で教えられたのは、非常に古臭い『忠君愛国』の思想だったので、この戦争に勝たないといけないと思っていたんですよ」

ーー今、安倍政権の安保法制を支持している人の中には、その当時の寂聴さんと同じ考えを持っている方が大勢いると思います。その方たちに、今の寂聴さんの立場から伝えられることは何ですか。

瀬戸内寂聴さん「戦争は人殺しですからね。殺さなきゃ殺されるんですから。どんな理由があっても、『良い』戦争なんてないと思います。昔は、この戦争は『良い戦争だ』と、天皇陛下のために、日本国民のために、東洋の平和のために戦争をしなきゃいけないと教えられていたんですね。

 でも、どんな戦争でも良い戦争というものは、絶対にありません。戦争は悪い。人殺しですからね、絶対にいけない。

 私は51才で出家しましたから、いくらか仏教の考えがありますけど、仏教で一番いいなと思っているのは、『殺すなかれ』『殺させるなかれ』というのが根本思想なんです。これはやっぱり素晴らしいと思います。殺しちゃいけないんですよ。戦争は殺さなければ殺されるんですからね。絶対あってはならないと思いますよ」

戦前と今と似通う社会の空気

ーー当時の戦前のきな臭さと今の状況と重なる部分はありますか。

瀬戸内寂聴さん「今がね、まさにその、かつてのきな臭さの時期ですね。思い出しますと、昭和16,17年の頃はこんなでした。軍靴の音が後ろに響いてるのね。あれしちゃいけない、これしちゃいけないと政府が言う。本当に馬鹿げたこと。良い着物は着てはいけないと、袖を切ったりですね。そんなことをしてたんですよ。

 『欲しがりません、勝つまでは』なんて言って、物を買ってはいけないと命じられて。それに、喜々としてではないけれど、そうしなければいけないと思ってやっていたんですね。馬鹿げたことだと思います」

ーー今、どういった場面で、当時の空気を感じることがありますか。

瀬戸内寂聴さん「安倍さんのやってらっしゃること、言ってらっしゃることは、その時代に返れということですね。あの方、戦争のできる国にしたいんですからね。終戦後、憲法9条を持ったということは、やっぱりあの戦争で本当に沢山の人が死に、戦争した相手の人をどれだけ殺していますか。そういう人たちの死んだ命の上に、さらに、その時代のようなことをしようとしている。それは絶対にあってはならない」

ーー安倍総理は「戦争立法」という言葉自体も否定していますし、米国の戦争に巻き込まれることもないと口では言っていますが。

瀬戸内寂聴さん「でもやっていることはそうじゃないですか。やっていることは、やがて戦争になるようにしている。自衛隊は軍隊になるでしょうしね。アメリカの属国みたいじゃないですか。そう思います」

「愛する人がいるならば、その人が殺されるということを想像して、戦争に反対してほしい」

ーー自分の彼氏が自衛隊員だったりする若い世代の中には、学業の傍ら、この戦争に積極的に反対している。最後に、若い世代に寂聴さんからメッセージを。

瀬戸内寂聴さん「戦争にみんなを連れていくようになったら、女だって、連れていかれますよ。男だけが戦争に行くんじゃなくて、女もいかなくてはならないと思います。そのことを考えて欲しいですね。

 そして、世の中で何が一番、辛くて不幸かというのは、愛する人に死なれることですよ。だから、少なくとも、愛する人がいるならば、その人が殺されるということを想像して、戦争に反対して欲しいですね」

(IWJ・ぎぎまき)

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■岩上安身によるインタビュー記事

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2015/07/01 「『戦争をさせないメディア』への攻撃だ」自民党勉強会での百田氏による沖縄侮辱デマと若手議員の喝采、無関係を貫く政府の対応を梓澤和幸弁護士が斬る!(聞き手:佐々木隼也記者)(動画)

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150701_(仮)佐々木さん撮影_1_s

 2015年7月1日(水)に収録、2日20時からCh6で録画配信した、「『戦争をさせないメディア』への攻撃だ」自民党勉強会での百田氏による沖縄侮辱デマと若手議員の喝采、無関係を貫く政府の対応を梓澤和幸弁護士が斬る!(聞き手:佐々木隼也記者)の模様。

  • 収録日時 2015年7月1日(水)
  • 配信日時 2015年7月2日(木) 20:00~
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■岩上安身によるインタビュー記事

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2015/07/12 【北海道】「知識がない者は声を上げるな、という社会の空気はすごくイヤ。『怖い』と感じたら素直に『怖い』と声を上げる」 ~札幌「ふるえる」デモ主催者・高塚愛鳥さんインタビュー

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150713_eye【北海道】「戦争したくなくてふるえるデモ」高塚愛鳥さんインタビュー・街頭スピーチ_R

※7月24日テキストを追加しました!

 「安保法案に賛成という人たちは、知識が十分というよりも、むしろ知識が中途半端だから、賛成できるのではないか」──。

 こう語ったのは、高塚愛鳥さん。19歳のフリーターである。北海道札幌市内で展開されている、安保法案廃止を求める活動の主催者で、2015年6月、「戦争したくなくてふるえる」デモを実施した。

 すでに複数のメディアに取り上げられており、7月20日に東京都内で行われた「安保法案に反対する学者の会」の会見でも、立教大大学院特任教授の西谷修氏が、高塚さんについて好意的に言及している。

 「札幌のあの女の子は、知性で発言しているわけではない。当たり前のことを当たり前だと思う感覚で、ああ言っており、『それで、ものを言っていい』ということが示された。私たち学者も、これは当たり前だという点から、どれだけ論理を組み立てられるかを、生業にしている面がある」

 安保法案の衆議院での強行採決が間近に迫った2015年7月12日、札幌市内で、IWJ北海道中継市民が高塚愛鳥さんの単独インタビューを行った。また、高塚さんが主催する7月13日の街宣「強行採決なまらムカつく」に向けてのミーティングの様子や、当日の模様も取材した。

 街宣では、集団的自衛権を「火事」のたとえで説明した内閣総理大臣補佐官の磯崎陽輔氏にツイッター上で論戦を挑み、「磯崎氏が10代の女の子に論破された」と話題になった、18歳のほなみさんもマイクを握った。

  • 高塚愛鳥(たかつか・まお)氏(「戦争したくなくてふるえるデモ」呼びかけ人)
  • 日時 2015年7月12日(日)16:00〜
  • 場所 大通公園3丁目(札幌市中央区)

誹謗中傷されても「信念」は曲げない

 札幌市内の大通公園でIWJの取材を受けた高塚さんは、2015年6月26日に「戦争したくなくてふるえる」と命名したデモを初めて行った理由について、「今、戦争法案(安保法案)が大きな問題になっているのに、無関心だったり、他人任せにしたりする若者がとても多いから」と述べた。

 そして、東京では、若者や学生を中心にしたSEALDs(シールズ)による、安保法案に反対する活動がインパクトを放っているのに、札幌では何の動きもなかったのが情けなかったと言い継ぎ、「東京のデモには大いに魅了された。札幌でも、ああいうデモが行われていれば、迷わず参加したと思うが、ある日、友人から『それだったら、自分でデモを立ち上げちゃえば』と言われ、そのひと言が私を押した」と明かした。

 ソーシャルメディアを活用し、思い立ってから9日後(6月26日)に実施した「戦争したくなくてふるえる」デモには、700人ほどが集まった。高塚さんは、「昔だったら、最初に市民グループを組織する必要があったが、今は、デモの時だけ個人有志が結束することが十分可能」と説明した。

 いわゆる、「社会運動」を企てることに不安はなかったか、との問いには、次のように応えた。

 「私は、戦争法案に関する豊富な知識を持ち合わせているわけではない。今でも、細かい切り口で問い詰められたら反論はできないと思うが、『知識がない者は、声を上げてはいけない』という社会の空気はすごくイヤで、壊したいと思った。(安保法案を)『怖い』と感じたら、素直に『怖い』と声を上げていいと思う」

 また、「ふるえる」デモが多くのメディアに取り上げられ、一気に注目されたことで、賛同の声とともに、自身への批判や誹謗中傷もネット上に溢れていることについて、高塚さんは、「ストレスは日々感じているが、私が今やっていることは間違いではない」と語った。

 ネット上の批判の大半は、高塚さんの知識不足を糾弾するものだ。まさに、「知識なき者は黙れ」が具現化されている状況だが、高塚さんは、「知識が乏しくとも、『ダメなものはダメ』と発言することは可能だ」と力を込める。そして、安保法案を肯定的に評している人たちについて、こんな趣旨の言葉を口にした。「知識が十分というよりも、むしろ知識が中途半端だから、法案に賛成できるのではないか」

 インタビュー終盤で、高塚さんは、今の与党は数の力で、9月27日の国会期末までに安保法案が通すことが可能であることを強調し、「とにかく、時間がない。(法案に反対したい人は)自分の知識の乏しさなどを気にせずに、(デモの人数で政府・与党に揺さぶりをかけるために)ぜひ、デモに参加してほしい」と呼びかけた。

「磯崎陽輔氏を論破」で話題の18歳女子がスピーチ

 7月13日、札幌市内の大通公園西3丁目で行われた街宣「強行採決なまらムカつく」(デモは行わず)では、若者たちが順番にスピーチをして、自分たちの感じている危機感を訴えた。

 まず、ツイッターで、集団的自衛権を「火事場での協力」にたとえた内閣総理大臣補佐官の磯崎陽輔氏を、「戦争は火事とは違う。少しでも他国の戦争に加担すれば、自国も危険にさらす」と論破した、18歳のほなみさんが街宣カーの屋上に立った。

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【インタビュー全文掲載】「安倍総理は、話を聞かないクラスの男子と同じレベルだ!」~14歳、中学2年生が切実に訴える、戦争、そして徴兵制への恐怖

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 「小学校5~6年生頃の時に、日本の政府は狂っている、と思いました。国民の意見を聞いていないということや、自分たちのことしか考えていないと思うし、考えていることが小学生並だな、と思いました」――。

 こう話すのは、8月2日に行われた高校生による安全保障関連法案に反対する「高校生デモ」に参加した女子。まだ14歳。中学2年生だ。

 IWJのインタビューに答えたこの女性は、この日のデモに家族とともに参加したという。「私達の世代に関係することなので、凄く怖いです」と話すなど、安倍政権が進める安保法案を自分の問題として受けとめていることが分かる。「集団的自衛権は絶対にいらないと思います。なんで、他の国の戦争に行くのかがわからないんですよ」と、安倍政権への怒りを切実に訴えた。

 以下、この14歳女性に行ったIWJのインタビュー全文を掲載する。(平山茂樹)

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14歳女性インタビュー書き起こし

 「小学校6年生の時に、地元の戦争について調べていて、戦争の脅威を知り、安保法案のことや、憲法9条改正のこととか、これはまずい、と思いました。私達の世代に関係することなので、凄く怖いです。徴兵制や空爆を落とされることも、とても怖いので、絶対に止めたいと思いました。今回は自分と年齢の近い人が主催ということで、家族に『自分も行きたい』と伝え、家族で参加しました。

 地元である東京の八王子市は、空爆を落とされた場所で、防空壕が沢山ある。友だちの庭とかにもあります。

 小学校5~6年生頃の時に、日本の政府は狂っている、と思いました。国民の意見を聞いていないということや、自分たちのことしか考えていないと思うし、考えていることが小学生並だな、と思いました。憲法を改正するなら、ちゃんと国民に説明した方が良いと思います。

 最近になって政府はちゃんと説明していると言っているが、支持者にしか説明をしていないと思う。支持していない人達に、どう理解してもらうのか、ということは、まったく考えず、支持者にのみ説明し、支持を受けようとしているのが、それが気に食わない。話を聞かないクラスの男子と同じレベルだと思いました。

 集団的自衛権は絶対にいらないと思います。なんで、他の国の戦争に行くのかがわからないんですよ。第2次世界大戦は日本が真珠湾に攻撃してなったことなので、それは日本の自業自得だし、また同じことを繰り返そうとしているので、話し合いで解決すれば良いと思います。武力はいらないと思います。

 会見を見たが、政府は『武力の行使もやむおえない場合は使う』と言っていたが、憲法9条で、武力の行使は使わないと謳われているので、違憲だと思いました。会見で言っていることが、二転三転していたので、これは駄目だ、と思いました。

 もっと国民の声を聞いて欲しい。こどものことや、日本のこと、世界全体のことを考えて物事を発言してほしいと思います。

 安保法案も憲法9条も自分たちに関わることなので、自分なりに考えて、解釈していってほしいと思います」(取材・写真:芹沢あんず、撮影:須原拓磨、記事構成:平山茂樹)

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【緊急アップ!全文掲載】国会での意見陳述の手応えは——9.15国会前抗議終了後、SEALDs奥田さんへインタビュー!「総理は楽観視し過ぎている、国民は忘れるどころか抗議の声はもっと強くなる」

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IWJのぶら下がり取材に応える奥田さん

 安保法制をめぐる国会審議は、2015年9月15日、採決の前提条件である中央公聴会が行われた。国会の外では、総がかり行動実行委員会・SEALDs主催の国会前抗議には、主催者発表で約1万6000人が集まり、間近に控えた強行採決に激しい抗議の声をあげた。参考人として公聴会で意見陳述したSEALDsの奥田愛基さんは、公聴会終了後、スーツのまま国会前でマイクを握った。

 与党はこれまで一言も触れていなかったのに、今日になっていきなり16日採決を言い出すとはどういうことなのか——。中央公聴会を、国会を舐めているのではないか。奥田さんは怒りを携え、厳しく安倍政権のやり方を批判した。「野党は牛歩!」のシュプレヒコールが国会前に響いた。

「本当に怒ってます」声を振り絞ってコールする奥田さん

 抗議終了後、IWJは奥田さんにぶら下がりインタビュー。その模様を、動画と全文文字起こしで以下、お伝えする。

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抗議終了後、奥田さんぶら下がりインタビュー

【動画】

奥田「一番でかいのは採決の明日(16日)、明後日(17日)になるでしょうけど、委員会の強行採決、中央公聴会の後にやるとかやばいっすよね。今日面白かったのがこれぜんぜん使えない話なんであれですけど、最後与党の方に個人としてやってるから個人としてやってほしいっていったら、誰も与党の人、まあ寝てる人もいたし、目を合わせてくれなかったんですけど、鴻池さん(委員長)だけがすげー見てくれてた(笑)やっぱなんか思ってんじゃないすか、みたいな。そんなに目合わせてくれるって」

【緊急アップ!意見陳述全文掲載】「今日は、国会前の巨大な群像の中の一人として、ここにきています」SEALDs奥田愛基さんが参院で堂々意見陳述「安保法案」に反対を表明!

記者「直接、(委員長に)声かけられたんですか」

奥田「声かけたかったんですけど、いや、挨拶だけしました。奥田ですっつったら、ああ、おつかれーみたいな」

記者「がんばってくれ、みたいな視線だったと」

奥田「いやあ、がんばってくれって視線じゃ…、反応したっていうか、いいこと言うねみたいな。ずっと途中から見てたんすけど、でもなんか同じとこで10秒くらい見つめあったのでお互い目をそらしましたけど(笑)。

 委員会の採決っていうことはもう鴻池さんがやるってことで、相当自分の腹の中に煮えきれない思いがあったんじゃないすか。それか馬鹿にしてるか。意外だったのが、山本(一太)議員とかはすごい嫌な顔するだろうなって見ていたんですけど、ヒゲの隊長の佐藤正久さんだけはすげーメモりながら聞いてたっていう、最高裁判事の人の話とか、元自衛官の人ってすげー背筋ピンとしてるなって、真面目な人なんだなー。その他の人たちは、ほとんど聞いてなかたです」

記者「野党は牛歩しそうですか?」

奥田「しないんじゃないですか。今日も言いましたけどしないんじゃないですか。てか問責決議もちゃんと出すか微妙っす、このままいったら。だから今日、めっちゃ煽ろうとおもってコールしました。結構ひよってます」

記者「枝野さんが世論のこと気にしてましたよね」

奥田「いやでもやること全部やんないと。盛り上がってなくて牛歩やったら総スカンくらうっすけど、今この段階でみんなのこの少しでも止めようという気持ちの段階で、野党が最後まで力を尽くさなかったらそれこそ総スカンくらいますよ。まあ絵面があんまよくないってのはわかるんですけど、でも17日もしくは18日って言われてますけど、これ土日またいだらぜんぜんまた違いますからね。1日延ばせる可能性があることは全部やってほしいなと。あと深い時間になってくるとまたここ(国会前)で集まるじゃないですか、だから野党が今牛歩してる、みたいになったら、すっげーここにくると思うんです」

記者「国会の中と外で連携するような形で」

奥田「なったらいいですけどねえ。高村さんとかテレビで『野党は牛歩とかするのかな』みたいなこと言ってた、めっちゃあおってる、みたいな」

記者「そう言われたらやるしかないですよね」

記者「それ嫌って感じですかね、与党は」

奥田「んーでも、17日の委員会採決だと牛歩とかやられたら本当に延びちゃうから、16日に意地でもやりたいですよね。もうなんか公聴会囲んで鴻池さんを出さないっていう手もあるんじゃないかと思いながら、僕は明日記者会見だから行かないんですけど」

記者「三時間くらいスピーチし続けるっていう手もあるみたいですけど」

奥田「ああ、牛タン戦術。まあどうなろうとやることはやるだけっす。すいませんなんか。おつかれさまです」

IWJ「おつかれさまです。IWJのキセキと申します」

IWJのぶら下がり取材に応える奥田さん

奥田「カメラ(?)4台くらい出してきてくださいよ(笑)」

IWJ「はい、もちろん、出していきます(笑)」

奥田「たぶん今日の警備見ていたら、警察の来かたがやばくて、だってあそこだけで40人くらいいましたよ」

IWJ「決壊はご覧になりましたか」

奥田「見てないです、僕こっちにいたんで。こっちきたらすでにおーみたいな」

IWJ「繰り返しになるかもしれないんですけど、今日の公聴会は出てみていかがでしたか」

奥田「公聴会ですか、いやーどうだったんですかね。よくわかんないですね。ちょっと終わってほっとしています。まあでも自分ができることをというか、言えることを自分の言葉で言うだけだと思ってたんで」

IWJ「言いきりましたか」

奥田「いやあ、まだいいたいこといっぱいありますけど、そりゃあ」

IWJ「あれは決められた時間内でこれだけしゃべってくださいって最初から決められているんですか」

奥田「あーはい、中央公聴会は一人15分以内でしゃべって、あとはまあ質問されれば返すということです」

IWJ「与党の人たちには届きましたか」

奥田「いやーわかんないですね。」

IWJ「最初に寝ている人たち起きてくださいとあったじゃないですか、あれはあの後、周りの人たちは起きましたか」

奥田「笑って起きてました。あははーみたいな。まあ政治家の方々はいま安保法制のことで連日遅くまでやっていると思うんですけど、まあでもできれば起きて聞いてほしいですよね。税金で働いて暮らしているわけですから切ない思いになりますよね、寝てると」

IWJ「毎週こうやってデモをやってきたわけですけども、中央公聴会にまで呼ばれるってどういう気持ちでしたか」

奥田「いやあまあ僕なんか呼んでもっていう、もうちょっと他にも適材がいたんではないかと思うんですけど、まあでもせっかく公募の中で95人の中で選んでいただいて、まあ自分に言えることは言えたのではないかなと思っています」

IWJ「一番伝えたかった部分はなんですか」

奥田「まあ僕も個人として何が正しいか正しくないのか判断して、何をやるべきか何をやらないのかと考えた結果、ここに立っていて、まあここでこの法案に対して抗議の声を上げていて、思うこととか、ためらうこともたくさんあるんですけど、まあ逆に政治家の方々もたった一人の人間として何が正しいのか、何をやるべきなのか、本当に思い残すことはないでしょうかと、あなたの良心に従って行動してくださいということを、まあ言いたかったということです。まあでもそんなこと言われてもって感じでしょうけど…」

IWJ「…政治家の方々が、ということですか」

奥田「はい。けどまあちゃんと伝えておこうと。あなたたちが勇気ある行動をするんだったらそれはもう、てかそういうことができる。別に党内のパワーバランスだけで、日本国憲法に保障されていることなので、その辺は自分で考えて行動してもいいし、それはもちろんそういう行動を私は支持しますよということをちゃんと伝えたかったです。

 やっぱなんていうかこう、まあもうほとんどそういう芽はないと思いますし、野党がどんだけ徹底的に抗戦するかってことだと思うんですけど、でもやっぱ与党の中にもそういう人たちがいるはずだし、そういう人たちともっと、実際どう思ってんのみたいな話が腹割ってできたらすげーよかったのになって、そう思います。

 本当は反対だけど賛成にまわっている人ってどれだけいるのか知らないですけど、まあでも一人でもいるんだったら、その人に法案が通る前に話したかったなあ、っていうともう通っちゃったみたいですけど。けどまあ、明日委員会採決ということでやる気なんでしょう。もうこんなタイミングで採決して国民の理解は得られなくてもいいやと、てかもう説明する気をなくしたということなんでしょうね。すごい腹立たしいですね」

IWJ「国民は三連休はさんだら忘れるみたいな発言が、(かつて)首相からあったみたいですけど…」

奥田「馬鹿にしているとしか言えないでしょう。僕はやっぱり(首相は)楽観視しすぎていると思いますね。忘れるどころかもっと強くなるでしょうと僕は思います。

 あんまりなんというか、毎週、毎週抗議するっていうこととか今は毎日になっているので明日、委員会採決の時にどれだけ人が集まるのかっていうのは、これを見ている人がどれくらいいるかわからないですけど、来てほしいと思いますし、なんていうかこの三日間どれだけ人が集まるんだろうってことと、もう一つは、もうこれだけ新しい動きが出てきているっていう中で、次の選挙はそう簡単ではないでしょうと思うんですよね。

 あともう一つは脱原発デモの後で(民主党は)選挙で負けたじゃないかと、まあでも逆にいうとそれが分かっているからこそ、次は参議院(選挙)ですから(野党)割れることはないと思うんですけど、もうちょっと僕たち有権者側も野党に勝てる選挙をしてほしいと、もう何回でもやらせるんだと言っていかないとだめなんだろうなと思います。無党派のまんま、僕も応援している政治政党とか特にないですけど、無党派のまんまどの政党であっても選挙にこの人をここで勝たせたいとかいう話がきちんと決まれば次の選挙絶対勝てると思うんで、まあその光景を見るためにもちゃんと、いまできることをちゃんとするのが大事だと思います」

IWJ「ありがとうございます」(了)

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【インタビュー全文掲載】「芸能人である前に、市民であり国民です」9月18日、石田純一さんにIWJが直撃取材!「将来に対する義務として、『戦争法案』に反対します」自民党改憲案に強い危機感を示す

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インタビュー石田純一2

 「やっぱりこの平和は、世界に誇っていいと思う」――。俳優の石田純一さんが2015年9月18日、国会前抗議でのスピーチ後、現場でIWJ記者の直撃インタビューに応えた。

 芸能人の政治的発言がタブー視される中、国会前で声を上げた理由について、石田さんは、「芸能人である前に、市民であり国民であるので、将来に対する、我々の『義務』だと思って、こういう『戦争法案』に反対します」と語った。

【スピーチの動画記事はこちら】
【緊急アップ!】「政治家として感覚悪い」俳優・石田純一さんが再び国会前抗議でスピーチ!国民の声を聞かない与党政治家を痛烈批判!

 石田さんといえば、2015年6月20日に、安倍総理と東京・若葉のフランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」で会食をしていたことが報じられ、安倍総理とプライベートな親交があることが話題となった。

 そんななか、安倍総理や、総理が強引に成立をはかる安保法制、そして自民党に対して、公衆の面前で、堂々と批判の声をあげた。IWJ記者が「安倍総理に何か一言、おっしゃりたいことは?」と聞くと、石田さんは、「(政府の進む方向は)戦前と同じなんですよ。だからそういう流れを阻止するのが、僕らの義務ではないか」と声を荒げた。

 石田さんは、2015年8月15日には、東尾理子夫人の第二子の懐妊も報じられたばかり。子をもつ父としての真剣な危機感を感じてのことだろう。手にしていたのは「だれの子どももころさせない」と書かれたプラカード。抗議行動に参加していた女性から、「もしよろしければ、石田さんこれ、使ってくださらないですか?」と手渡されたもの。

 そのプラカードを掲げて「これですよ」と言いながら、インタビューに答える姿は、「華やかな芸能人」ではなく、政治の暴走を許さぬ「一国民」の姿そのものだった。

 以下、IWJ記者による石田氏への直撃インタビューの動画と全文文字起こしを掲載する。(城石愛麻、文責・岩上安身)

石田純一氏へのIWJぶら下がりインタビュー動画・全文文字起こし

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IWJ「芸能人としてここに来るには、さまざまな障害があると思いますが、どうして、ここにいらっしゃったんですか?」

石田「やっぱり、みんながここで声を上げている、立ち上がっているのに、自分たちは何もしない、っていうのは、芸能人である前に、市民であり国民であるので、将来に対する、我々の『義務』だと思って、こういう『戦争法案』に反対します」

IWJ「すごい、すばらしいです。もう一点、安倍総理と親交があるとお聞きしていますが、安倍総理に何か一言、おっしゃりたいことありますか?」

石田「安倍さんも、自民党も、最終的には憲法改正したいと言っておりますけれども、自民党のホームページを見ても、例えば言論の自由のところでも、『何人も、言論、出版、集会、結社の自由がある』と、これは今の憲法なわけです。それに対して、自民党案の場合は、第2項ができて、『ただし、公共の秩序に反するものは、この限りではない』と。つまり、公共の秩序に反したら、言論も、出版も、集会も、結社も、自由がなくなる、っていうのは、『治安維持法』、戦前と同じなんですよ。

 だからそういう流れを阻止するのが、僕らの義務ではないかと。とにかくこれです(手にしていた『だれの子どももころさせない』プラカードを掲げる)」

IWJ「二人目のお子さんも、お生まれになるんですよね?」

石田「そうですね、やっぱりこの平和は、世界に誇っていいと思うんで、我々のこの平和を、次の世代、また次の世代にちゃんと残していく、継承していかなくちゃいけない。そのために、ここはちょっと踏ん張りどころかなと思うんで、声を上げました」

IWJ「ありがとうございます。ジャーナリストの岩上安身のインタビューもぜひお受けいただきたいので、よろしくお願いします。ご連絡させていただきますので、ありがとうございました、石田純一さんでした」

(取材・川島安乃、原佑介 記事・城石愛麻)

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■関連記事(岩上安身インタビュー)

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2015/12/15 英エセックス大学人権センター・フェロー・藤田早苗氏インタビュー(動画)

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 2015年12月15日、東京都港区のIWJ事務所にて、英エセックス大人権センター・フェローの藤田早苗氏を迎え、IWJの佐々木記者がインタビューを行った。

  • 日時 2015年12月15日(火)15:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)
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■インタビュー記事

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2016/01/19 【宜野湾市長選】「ディズニー構想という偽のニンジン」自民党が宜野湾市民に仕掛ける狡猾な選挙戦略とは!?「ママの会」新垣依恵さんインタビュー(聞き手:IWJ記者・佐々木隼也)

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※1月23日テキストを追加しました!

 「宜野湾市長選はただの、小さい街の市長選ではない。原発、秘密保護法、集団的自衛権、武器輸出、安保法の強行可決、今の自民党が作っている政治の中で、子供たちを安全に守っていけるのかが問われています」。

 子育てをしながら、宜野湾市長選で現職候補や安倍政権の様々な問題点に警鐘を鳴らしている「ママの会」の一人、新垣依恵さんは2016年1月19日、IWJのインタビューに応え、宜野湾市長選の重要性を訴えた。

 自民・公明推薦の現職・佐喜真淳(さきまあつし)候補と、翁長知事率いる「オール沖縄」のサポートを受け、辺野古新基地建設反対の立場を明確にしながら現職に挑む新人・志村恵一郎(しむらけいいちろう)候補の一騎打ちとなった宜野湾市長選は、安倍政権と「オール沖縄」の代理戦争の様相を呈している。

 安倍総理は、この宜野湾市長選で勝利することで、夏の参院選(もしくは衆参ダブル選)、その後の憲法改正に弾みをつけることを狙っている。

 「辺野古移設反対」という宜野湾市民との約束を破り、安倍政権の意思をダイレクトに反映してきた佐喜真市長の市政に、新垣さんは危機感を募らせる。

 「佐喜真市長は前回の市長選では普天間基地の移設先は県外、国外と言っていたが、当選直後、『オスプレイの配備は県内にさせない』『普天間の即時閉鎖』『辺野古には基地を作らせない』という建白書について、『あれは騙されてサインしたのでやめる』と、一抜けした。(建白書は)ウチナンチューの心を一つにまとめるものだったのに。自民党は、内部から切り崩していくというやり方をしてきた」

■イントロ動画

  • 収録日時 2016年1月19日(火)
  • 配信日時 2016年1月20日(水) 18:25~
  • 場所 沖縄県宜野湾市
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「偽のニンジン」ディズニー誘致という狡猾な選挙戦略

 2013年1月の名護市長選では、石破茂幹事長が「500億円の振興基金」を持ち出すなど、露骨な実弾(カネ)が飛び交った。しかし、今回の宜野湾市長選では、そうした直接的なバラマキの話は自民党から発せられていない。

 この選挙戦略の変容について、新垣さんは、「名護市長選、2014年の沖縄市長選を経て、自民党は学んでいる」と語った。

 沖縄では、たとえ多額の交付金が落とされても、天下りした官僚が持っていってしまうことが何度もあったため、「どうせ『飴』だよ、ということをみなが知っていた」のだと言う。結果、名護市長選では「オール沖縄」候補の稲嶺進氏が当選した。

 稲嶺氏の当選後、名護市は交付金を貰っていないのにも関わらず、市民の暮らしに目を向けたお金の使い方をしたおかげで、税収が100億円増えたのだという。

 「札束では県民の心は動かないことを自民党政権は学んで、沖縄市長選では、お金をばらまかなかった。その代わり自民党は、沖縄市には道路でバイクを走らせる若い青年が多いことを利用し、沖縄市にサーキット場を作ることを公約に掲げたのです。10代から30代の若者はすごいまとまって、与党候補を応援した。浮動票を取りにかかった。その結果、『偽のニンジン』で与党候補が勝った。

 しかしその後、市長は『やはりサーキット場は作れない』と約束を反故にした。当時は与党候補を応援した私の友人の甥も、が、『利用された』と怒っていた。しかし、選挙とはそういうもの。勝ってしまえば何でもアリなのです」

 そして、今回の宜野湾市長選で佐喜真陣営が繰り出した「偽のニンジン」が、「普天間基地跡地にディズニーリゾート誘致」なのだという。

 「静かだった市長がいきなりテレビに出て、菅さんと握手しながら、宜野湾にディズニーリゾートを誘致すると言った。ディズニーランドと思っている人たちが多いがランドではなく、ディズニーリゾートという『ホテル』。みな、騙されているのです。どうして、名護に見習った、地に足をつけた政策、地元の人が利用できて、交流、学びの場ができないのか」

「普天間の危険性除去」と訴えながら、「普天間の騒音・爆音被害はない」としてきた佐喜真市政

 基地の騒音・爆音について、新垣さんは、今回の選挙でのある変化を指摘した。一昨年の知事選、衆院選では普天間基地は低空飛行をせず、周辺は静かになったという。しかし、今回は逆に、2015年の秋口から「異様なほど」低空飛行をし、夜10時を過ぎてもオスプレイが飛んでいるのだという。

 「わざとらしいくらい、怖いと思うくらい低空飛行をしていて、友人の中には『もう本当に嫌だ』と訴えている人もいる、こんなに毎日毎日、子育てをしながら、この3ヶ月、異常なほど住宅上空を3機、4機編成でばんばん飛ばして、恐怖を煽っている。もうクレイジーになほどに。耐えかねて、『もう辺野古でもどこでもいい』『今すぐどけている人がいるならそこにお願いしたい』と言う人もいる(※)」

(※2016年2月1日追記:新垣さんによると、宜野湾市長選が終わったと同時に、鳴り響いていた低空飛行や夜間の整備音による爆音がとたんになくなり、静かになったという)

 佐喜真候補は選挙戦で必死に、「基地の危険性の除去」を訴えている。しかし新垣さんは、その主張に疑問を‏呈する。

 宜野湾市は2009年、伊波洋一市長(当時)のもとで、市と市民が一体となって基地返還に取り組む「基地対策協議会」を組織したが、佐喜真市政では、一度も協議会が開かれていないのだという。

 「佐喜真市政ではこの4年間、基地の被害はなかった、というくらいになっている。市民の声を受け止める枠も消し去った。夜、オスプレイの騒音がひどくて、配備の時の条件と違うのになぜ黙認するのかと電話しても、警備員のおじさんしか電話をとらない。記録にも残さない(※)。

 さらに、『オスプレイ反対』というステッカーを車に貼っている人は、市民駐車場を使えないようにしている。『米軍が解放してくれている駐車場だから』と。もともとは私たちが住んでいた土地を取られて、盗まれて土地なのに」

(※追記)宜野湾市によると、市民からの通報はすべて音声記録に残し、文字起こしをしたうえで市長に目を通してもらい、沖縄防衛局や在日米軍に配慮を要請しているという。IWJの取材に対し宜野湾市役所の基地渉外担当者は、「佐喜真市政になってからも市民の声はすべて漏らさず記録し、漏らさず防衛局と在日米軍、普天間飛行場へ要請をしている」と語った。騒音被害を訴える市民の通報は年々増加傾向にあり、2010年は145件だったものが2015年は319件と倍増しているという、

 また新垣さんは、佐喜真候補が「普天間の危険性除去」を連呼しながらも、一度も「辺野古」に言及しないことを指摘した。

 「私たちは敗戦国として権利がない状態。航空権だってそう。辺野古に移しても安全ではない。佐喜真さんも、宜野湾の上空を絶対に飛ばないとは言えないから、無言。巧妙で卑怯。それは許してはおけない」

自衛隊に若者の個人情報を提供していた宜野湾市――いまだに公の場で謝罪しない佐喜真氏

 佐喜真市長が、安倍政権の動きに緊密に呼応していることをあらわす、ある事実が発覚した。安保法制成立後、宜野湾市と沖縄市は、自衛隊適齢期の若者の個人情報を、本人や家族の同意を得ることなく、勝手に自衛隊に提供していたのだ。

 子を持つ母親として、本当に恐ろしいと話す新垣さんは、しかしこの事実が多くの親に届いていないことに危機感を募らせた。新垣さんが30代のお母さんにこの話をした際、「でも自衛隊は公務員ですよね」と平然と返されたという。

 「でも、名簿を提出して勧誘する自衛隊は、安保も可決された中で、後方支援といって銃を持ってアメリカを守る、スーダンだって行ける、制限がなくなっていて恐ろしいよと。尖閣が危なくなった時の説明もしたが、沖縄では、自衛隊はテレビでお見合いをしたり、屈強な自衛隊員が国を妻子を守ります、というイメージがあるのです。

 今まで自衛隊員がやってきた功績は確かに大きい。そのままであれば美しいが、安保法が可決された中で、今までの自衛隊と違う。名簿提出を勝手にやったことで、副市長に話しにいきました。軽はずみな行為はどうかと思うと、ここで暮らしていく中で安全に暮らしていきたい、市民を守るのが優先ではないか」

 新垣さんらが、「自衛隊はどこに派遣されて、何をするのかわからない。内容も知らされていない、斡旋していいんですか」と伝えると、市長は「軽はずみであった」と認めたが、いまだに公の場で謝罪の言葉はないという。ちなみに、沖縄市長はこの問題で謝罪している。

園児に教育勅語を唱和させる――危機感のない若者と「また戦争が始まる」と危機感を募らせる戦争世代

 佐喜真氏の問題は他にもある。2年前、佐喜真氏が閉会のあいさつを務めた、日本会議主導の「沖縄県祖国復帰42周年記念大会」で、地元保育園の園児が、胸元に日の丸ワッペンをつけ、「教育勅語」を一斉昭和させられていた。

 「教育勅語」とは戦前、自由民権思想が起こるのを防ぐために、政府が学校教育の統制を目的に発布され、国民に強制されたもの。忠君愛国、天皇崇拝を規範とし、権力側が、天皇の名のもとに独裁を敷く洗脳手段として利用されたものだ。

 「うちの子供と同じ歳の園児たちが提唱させられて、その大会が宜野湾市で行われて、それが日本会議だった。安心してここで子育てできるのかと感じた。しかし20代のお母さんは違う。こんな難しい文章を暗記できてスゴイね、という感覚なのです」

 新垣さんが以前、80歳のお爺さんに、この園児の教育勅語昭和の動画を見せたところ、「何だこれは、こんな事態になっていたのか宜野湾が」と、仰天していたという。

 「お爺さんが小学4年生くらいの時、教育勅語を唱和させられていた。私の母も教育勅語を言える。すらすら言える。今、お爺さんは『これは本当にどうにかしないと日本の未来はない、また戦争が始まるかもしれない』と言って、最後に伝えられることをやらないと、と色々な活動をしています」

宜野湾市長選は、日本の今後の行く先を決める重要な選挙

 最後に新垣さんは、宜野湾市長選の重要性を訴えた。

 「この湾市長選は、宜野湾のことだけではなく、沖縄、日本の今後の行く先を決める大きな選挙です。そう見えないように現政権はしているが。沖縄がこれまで勝ち取ってきた民主主義を守り、国民のお金で造る新基地も止めなければいけない。

 原発事故の後、国が国民を見捨てるのを見てきて、国民に目を向けない国づくりの中で何が愛国心なのか。宜野湾市長選はとても大事です。安保、秘密保護法、武器輸出に関してもすべてが絡み合っている。外からの応援が必要。注目してほしい」

■岩上安身によるインタビュー記事

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