
「喧嘩をしに来たわけではありません。話をしにきているんです」
10月29日、鹿児島県日置市で開催された、川内原発再稼働に係る住民説明会は、怒号と紛糾のうちに終始した。平日の夕方から始まるこの説明会に参加することができたのは、限られた者だけだ。より多くの住民へ、より生活者の目線に立った説明責任を問いかける声は、閉会後もやむことがなかった。
この日、説明会が開始する前にも、再稼働に反対する市民らは、説明会場前で抗議行動を行っていた。
前回の説明会に参加しなかった住民は、今回の説明会に参加できないという運営側の方針のため、会場である伊集院文化会館の外で会の終了を待っていた鹿児島市在住のラッパー・泰尊氏。主催者側の理不尽な体制への批判をしながらも、草の根の市民運動への示唆に富む冷静な思いを述べ、若い世代が中心となって生まれる今後の動きについて聞いた。
- 記事目次
- 主催者側・九電の不誠実な姿勢に声を荒らげてしまう参加者も
- 「闘いだとしても、争いにしてはいけない」
■泰尊氏インタビュー
■説明会場前での抗議行動
- 場所 日置市 伊集院文化会館前
主催者側・九電の不誠実な姿勢に声を荒らげてしまう参加者も
記者「会場に入れず、外から住民説明会を見ていて、どのような感想を持たれましたか」
泰尊氏「(住民説明会の)段取りが悪いけれど、参加者のモラルが悪いのも良くないと思います。喧嘩をしに来たわけではありません。話をしにきているんです。
最初から声を荒げたら、(主催者側も)聞く耳を持たないと思います。『九電が保証しない』という話を聞いて、良くないと思いましたが、だからといって声を荒らげたら、(主催者側の)思う壺なのでは。
今日、(説明会の途中に)先に退出した女性がいて、『怒号がひどすぎたから出てきた』と話されました。その後(マスコミの)インタビューを受けたら、(その発言が)番組で使われてしまうんですね。それこそ思う壺で、どこかの誰かさんの策略通りです。
40年、こうした市民の運動は続いています。声を出せば、揚げ足をとられ、声を出さなければ、何も思っていないと思われる……。そろそろ変わらなければならないのかな、と思います。
賛成、反対、という言葉が対立の構図を作っています。そこに気づかなければいけないのかな、と思います。肯定でも否定でもない、イエスでも、ノーでもない選択肢について考えなければいけないのでは」(IWJ・小田垣大志)
「闘いだとしても、争いにしてはいけない」
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