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2012/12/12 村田光平氏(元駐スイス大使)インタビュー / 「4号機冷却ポンプ破損」情報について

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 2012年12月12日(水)、東京都内のIWJ事務所で、村田光平氏へのインタビューが行われた。

■内容 福島第一原子力発電所4号機の燃料貯蔵プールに冷却水を送るポンプが故障したとの情報について

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2013/02/14 【福島】「環境省は自分の話に乗っただけ、環境省に責任はない」と政府をかばう福島県鮫川村村長、1kg8000ベクレルを超えの高濃度焼却施設建設は見直さず ~大樂勝弘鮫川村長インタビュー

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※2月24日、インタビュー記事を更新しました。動画全編は会員向け記事よりご覧になれます。→http://iwj.co.jp/wj/fellow/archives/3788

 大手メディアも報じない、地元福島の住民もほとんど知らないうちに、とてつもない施設が福島県内につくられようとしている。福島県いわき市の西側に隣接する人口4000人の鮫川村に、1キロあたり8000ベクレルを超える「高濃度」の放射性廃棄物の焼却施設がにわかに作られようとしているのだ。大手マスコミも、地元メディアも、独立系メディアも、ほとんど取り上げようとしない。IWJはひとり問題が発生した時から追い続けてきた。この施設の建設をめぐって、近隣自治体を巻き込んで反対運動が巻き起こっているのは、以前IWJブログ「住民不在で進む、福島県鮫川村の『高濃度放射性廃棄物』焼却施設建設問題」で報じたとおりである。(岩上安身)

 2013年2月14日、IWJは鮫川村役場を訪れ、大樂勝弘鮫川村長へインタビューを行った。村長は、近隣住民の不安に理解を示しつつも、建設事業の見直しはしない意向を示し、「一部の反対派をいかに説得していくかが私の役割」と断言した。

※サポート会員記事に全文文字起こしを掲載しました(2014年6月26日)

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◇環境省側と食い違う村長の説明

 焼却施設建設の経緯について、大樂村長は、「もともとはJAEA(日本原子力研究開発機構)の勧めで、自分が2012年1月から進めてきた話」と語り、環境省は「自分の話に乗っただけ」と、同省に責任はないと強調した。

 福島第一原発事故後、除染のための仮置き場が村内になかなか見つからないという状況に頭を悩ませていた村長は、減容化(事前に、焼却、破砕、圧縮などを行い、廃棄物を最終的に処分する容量を少なくしておくこと)の必要性を感じていた。そんな折、2012年1月にJAEAから小型の焼却炉を勧められた。JAEAからは、「大熊町と飯館村で安全性が実証済の焼却炉で、焼却能力は200kg/時で環境アセスもいらず、50~70万ベクレルの放射性廃棄物を燃やしても、0.7ベクレル程度しか大気中に放出されない」という説明があり、村長もその安全性を確信したという。

 しかし、焼却炉は2億円と高額であり、再度紹介された三共の中古のものでも1億円と、村で出せる金額ではなく、導入を躊躇していたという。

 村長の話によると、環境省が村を初めて訪れたのは2012年3月23日。鮫川村が行なっていた村民への牛の飼料の無償提供事業について実態調査に来た際に、環境省の福島さんが「何かお困りのこと、お手伝いできることありませんか」と言ってくれたため、「村長から」焼却炉の相談を持ちかけたという。(※1)

 しかし、これは環境省側の説明と食い違う。

 2013年2月9日に行われた、(鮫川村に隣接する)茨城県北茨城市の住民説明会の場で、環境省は、東日本全体にある8000ベクレル以上の「指定廃棄物」をどう処理するかを、個別に各自治体を訪問し「ご相談」をするなかで、鮫川村に相談したところ、村内で検討後、村側のご理解の得てやることになったと、導入の経緯を説明している。

◇住民への説明が遅れた理由は「施設がとても安全で、住民への確認が不要だから」!?

 「村長から相談を受けた」環境省は、一旦持ち帰り、2012年4月24日に「何とかなりそうだが、設置場所はどこなのか」と回答をしてきたという。そこで、村内の区の総会(説明会)を開いたが、参加した区長はすべて高齢者であり、若者の意見を聞けなかったことが失敗であり、今回の告知不足につながったのだろうと村長は語る。

 村内の住民説明会が初めて行われたのは、2012年12月25日。11月15日に工事が着工してから1カ月も経ってからのことである。ここまで説明会が遅れた理由について村長は、「JAEAの説明では、とても安全な施設であり、みなさんに確認する必要があるほどの焼却炉だとは思わなかった」と釈明した。

◇安全性に疑問を抱きつつも、どんどん事業は進める

 近隣住民などの反対や、炉の危険性を指摘する声などにより、村長自身、「もしかして危険があるかもしれないなと思い始めている」という。バグフィルターに関しても、東京のある関連メーカーの人間から、「決して安全ではなく、燃えやすい」という指摘を受けたことを明かした。

 しかし、村長は「線量が比較的低いうちのような村が一歩前に出ないと、福島県の復興はない。鮫川で安全性が実証され、今度はいわきでやってみようというふうにどんどん減容化が進めば、必ず福島県の復興はあると思う」と、事業継続の意思を崩さない。

 安全性への懸念の声については、「焼却開始後」に、議会議員や村民からの一般公募で20人規模の監視委員会を設置し、厳重に監視していくという。前述の北茨城市の住民説明会で同市の豊田市長が、「結果が出ていないのに安全だと言えるのか」と事業見直しを求めていることについては、「もし焼却炉に不測の事態があった場合でも、1万ベクレルくらいの、本当に線量の低い、(村の中では)すぐそこにあるものが(狭い範囲に)散らばるくらいだから問題はない」と語る。

◇「すでに村民の大半の同意は得ている」

 インタビューで村長は「村民への理解が得られるまでは焼却は中止する」と何度も強調する。しかし、「村民の理解」とは「村民の大半の同意」と意味するのか、という問いに対し村長は「いやいや、私は村民の大半の同意があると思ってますから。せいぜい一部の、1割に満たない人が白紙撤回を求めているんでしょう。この1割の人をいかに説得するかが私の役割だと思っている」と語る。

 また、反対の声が高まっているいわき市や北茨城市など、近隣自治体への同意の必要性については、「同意を得る(必要がある)ような焼却炉だとは思っていない」となどと否定した。

◇構造的な懸念は「メーカー側の責任」

 この日立造船の焼却炉には、調整がしにくい、環境省が独自検査をしていない、放射性物質の監視装置が付けられていない、など、構造的な部分で多くの懸念の声があがっている。

 これに対し村長は、「バグフィルターの安全性をどうやって理解してもらうかは、日立造船や技術者の責任。メーカー側の責任で、しっかり安全性の説明をしてもらいたい。ただ、環境省が自分で確認をしていない焼却炉を、地方に斡旋するとは思えない」と語る。

◇浮かびあがる多くの疑問点

 インタビューでは、前述した点を含めて、環境省側の説明と食い違う点がいくつかあった。

 また、この日の18時より行われた、いわき市での住民説明会でも、出席した村長と環境省の担当者に対し、多くの批判と懸念の声があがり、また様々な問題点や矛盾点が明らかになった。

 こうした点を含めて、より詳細なレポートは、メルマガ「IWJ特報!」(まぐまぐとニコニコのブロマガで発行)などで、また改めてお伝えすることにしたい。(IWJ記者・佐々木隼也)

2013/03/05 【福島】「工事再開は『その場の雰囲気』で判断」 福島県鮫川村村長、高濃度放射性物質焼却炉建設は近隣自治体の同意は不要との認識示す ~大樂勝弘鮫川村長インタビュー第二弾

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 福島県いわき市の西側に隣接する人口4000人の鮫川村に、1キロあたり8000ベクレルを超える「高濃度」の放射性廃棄物の焼却施設が作られようとしている問題で、大樂勝弘鮫川村長は3月5日、IWJのインタビューに対し、「青生野(あおの)地区を対象にした住民説明会で、大半の同意を得られれば工事を再開する」と、鮫川村やいわき市など近隣自治体の同意がなくても、事業を進めていく考えを明らかにした。

 青生野地区は焼却施設の建設工事が行われている立地地域で、約80軒の民家が並ぶ。2月23日に同地域で行われた住民説明会では、「村民の本音を聞きたい」という村長の意向で、マスコミ完全非公開となった。説明会では住民のほとんどが事業に反対し、工事の中止を求めた。これを受けて村長は「地域の理解が得られるまで工事を再開しない」考えを示していた。

■イントロ動画

■ダイジェスト動画

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 この2月23日の住民説明会では、環境省の担当者の口から、「(工事再開にあたっては)北茨城市やいわき市など近隣自治体の同意も得る必要がある」との発言があり、「近隣自治体の同意は必要なし」とする村長の意向とは食い違いをみせている。

 3月14日には、青生野地区で再度住民説明会が行われる。村長は、前回と同じくマスコミには完全非公開で行う方針で、その場で参加者の大半の同意を得たい考えだ。この「大半の同意」とは、署名や拍手、多数決などで判断するのか?というIWJの質問に対し、村長はそれらを否定し、「その場の『雰囲気』で判断する」と語った。(佐々木隼也)

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2013/03/05 【文化】学生団体ALL-UTによる安冨歩氏インタビュー

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 2013年3月5日(火)13時から、東京都文京区の東京大学東洋研究所で「学生団体ALL-UTによる安冨歩氏インタビュー」が行われた。安冨氏は「立場主義」に根ざした日本の戦後システムは、高度経済成長を支えたものの、現在は生産現場へのコンピューターの浸透を背景に、すでに効力を失っていると力説した。その上で「今や、まともなのは子どもだけ」と明言し、「立場主義の影響を受けていない子どもが、新たな可能性を切り拓く」とした。

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2013/04/23 疑惑の「不起訴不当」 検察審査会補助弁護人は不祥事で処分された元検事 ~八木啓代氏インタビュー

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 「『検察に恩義のある、特殊な人』が、検察全体の名誉に関わるこの事件で、なぜ補助弁護人になったのか」。健全な法治国家のために声をあげる市民の会の代表・八木啓代氏は、2013年4月23日(火)、IWJのインタビューで、このような疑問を呈し、「元検事が補助弁護人につくだけでも、第三者性に欠ける。しかも、この人物の退官理由が脱税疑惑であり、検察内部の人間であったがために戒告処分で済み、退職金も得ているのである」と述べ、補助弁護人として不適格な人間が、検察審査会の議決に恣意的な影響を与えた疑惑があると指摘した。

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■視聴者ツイート

■実況ツイートまとめ

2013/05/23 【東京】都道328号線計画の住民投票、3日後に迫る 哲学者・國分功一郎氏「50年前の計画が『亡霊』のごとく息づいている」 ~小平市住民投票に関する街宣活動と市民インタビュー

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 「積極的に推進している人はほとんどいない。一度決められた計画が破棄できないというルールが『亡霊』のように、今に息づいている」。高崎経済大学准教授であり哲学者の國分功一郎氏は、こう語った。

 小平都市計画の見直しを求める住民投票日が今週日曜日に迫っている。國分氏は、朝と夕方の一日2回、新小平駅前に立ち、住民投票についての周知活動を行なっている。3・2・8号線都市計画は、1963年に持ち上がった。國分氏はインタビューで、50年前の計画を見直すことなく進めようとしている行政のやり方は、現代日本の民主主義の欠陥を象徴していると批判。週末26日に行われる投票に一票を投じることの重要性を語り、住民投票への参加を呼びかけた。

 2010年、事業主である東京都は、小平市民に向けた説明会を開催。都市計画道路の必要性や利便性をうたう映像を上映した。その後、住民からの質疑応答の場を設けたが、「再質問は禁止」というルールが設けられた。この説明会に居合わせた國分さんは、住民の声を聞かない行政の強制力に無力感を覚えたという。

 「道路はかならずどこかの地域に作られる。よっぽどの話題性がないと、注目を浴びない。これまで、声なき声のまま、行政の決定に屈した人が数えきれないほどいたと思うと、胸が痛む。葬り去られた無念の想いを供養する意味でも、今行動をしている」。國分氏は、説会の後、住民投票の実現を目指す運動と出会い、協力者となった。

 住民投票を実現するには、地方自治体に対し「住民投票条例案」の制定を請求する必要がある。これには、有権者の20分の1の署名が必要だが、「小平都市計画道路に住民の意志を反映させる会」は、定められた1ヶ月という短い期間で目標の倍以上の、7,000筆を超える署名を集めた。そして、これを市議会に提出。過半数を超える市議員から賛同を得たため、住民投票条例案は今年3月に可決された。しかし、直後の4月に再選された小林市長の基、「50%の投票率を満たさなければ開票もしない」という追加の要件が成立。小平市の有権者の半分、約72,000人の市民が投票に行かなければ、この住民投票が無効となるという、ハードルの高い条件が追加されたのである。

 しかし、國分氏は悲観していない。

 小平市の投票率はそもそも低くはないという。国政選挙の場合は60%、都議会選挙でも50%弱の投票率だ。住民投票で求められている50%は、実現不可能な数字ではないのだ。

 「(周知活動を)ここでがんばって(投票率)50%を超えるか、気を抜いて50%を切るか、瀬戸際の状況です」と國分氏は語る。

 実は、一度作られた都市計画は必ず施行しなければならない、という驚くべき法律がある。

 「50年という長い時間をかけて担当者や部局が変わり、事情を詳しく知る責任者ももはや存在しない。非物質的な観念だけが執拗に取り付いて、行政を拘束している。蓋を開けてみると、積極的に工事を推進している人はいないんです」。

 國分氏はその非物質的な観念を『亡霊』と呼ぶ。亡霊に力を与えたのは紛れもなく人間である。それを解体するのも、人間以外にない。2日後に実施される住民投票で投票率を満たし、旧弊を打破する突破口となるのか、小平の住民投票には大きな注目が集まっている。

 もし、開票まで漕ぎ付けた場合、市長は東京都に市民の声を届ける義務がある。しかし、そこに計画見直しの法的な拘束力はない。それに対し、「小平都市計画道路に住民の声を反映させる会」共同代表の水口和恵さんは、「小林市長には、市民参加型の議論の場を設けて欲しいと思っている。もし、それが実らなくても、住民投票の成果は、今後の行政に影響を与えることができるでしょう。住民の意向を無視して工事を着工するやり方は今後、難しくなるはずです」と語った。

 26日の夜、投票結果がでる。50%が満たされれば、翌日27日に、開票作業が始まる予定だ。【IWJ・ぎぎ】

■街宣活動「プラカードを持ってただ道路に立つ」

■「國分功一郎氏インタビュー」

■周知活動「ねり歩き 大沼町」

■「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会共同代表 水口和恵さんインタビュー」

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2013/05/28 【ジュネーブ】国連人権理事会 井戸川克隆・前双葉町長インタビュー

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 2013年5月28日(火)、スイス・ジュネーブの国連本部で国連人権理事会が開催され、同理事会のサイドイベントに出席・報告をする井戸川克隆・前双葉町長へのインタビューを行った。

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2013/05/29 【ジュネーブ】国連人権理事会サイドイベント出席者へのインタビュー

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 2013年5月29日(水)、スイス・ジュネーブの世界保健機構(WHO)本部前で、前日の国連人権理事会サイドイベントに出席した、伊藤和子氏(HRN事務局長)、森永敦子氏(手をつなぐ3.11信州)、岩田歩氏(CRMS)へのインタビューを行った。

■Ustream録画(21:04~ 29分間)

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2013/06/26 「勝俣前会長の方がまだマシだった」 ~第89回 東京電力株主総会後の参加者インタビューおよび一部株主の反省会

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 26日に開かれた東京電力の株主総会。終了後に、脱原発・東電株主運動のメンバー約40名が集会を開き、個々人が感じたことや今後の決意を報告し合った。中でも、「(前会長の)勝俣氏の方がまだ良かった」と指摘する声が最も多かった。

 下河辺会長が就任してから初となる株主総会だったが、メンバーらは少なからず「新しい」東電を期待していた。しかし、議案の審議に入る前の事前質問にあてる時間を短縮したり、発言者の言葉を途中で切るなど、下河辺会長の議事進行は前会長の対応より酷い内容に終わった。好ましくない方向で生まれ変わった「新生東電」に参加者は悔しさを滲ませた。

 「決議の瞬間だけでも日本中が見ればいい。東電の体質がわかる」と語ったメンバーもいた。株主総会の透明性については、議場を報道関係者に公開し、インターネットでの中継を求める議案が上程されているが、否決されている。

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2013/07/19 【東京】「私は危機感を感じ、スマイルセラピーを一切封印し、平和を訴えている」 ~東京選挙区 スマイル党 マック赤坂候補 インタビューと街頭演説

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 東京選挙区から出馬しているスマイル党・マック赤坂氏は19日、米大使館前で街頭演説をおこなった。この街頭演説の前にインタビューをおこない憲法改正や今回の選挙戦についてを語った。マック赤坂氏は、今回の参院選前までの選挙戦において、奇抜なファッションで政見放送や街頭演説をおこない、YouTubeなどのネット動画サイトで話題を集めていた。
 しかし、今回の選挙戦では、インドの英雄ガンジーの格好を装い、平和を訴えている。
 マック赤坂氏は、「自民党が、自衛隊を軍隊化しようとしている。私は非常に危機感を感じたので、スマイルセラピーを一切封印して、平和ということを訴えている」と、選挙スタイルの変更に至った経緯を明かした。
 若年層からの反応について、「想像はしていたが、思っていた以上に無関心。平和ということに関して。スーパーマンは人気があって、ガンジーは人気がない。真面目にやったら若い人からの評価がない」と、マック赤坂氏への注目度の違いも明かした。

■インタビュー

■街頭演説

2013/09/03「大飯原発敷地内に活断層は存在する」 ~渡辺満久東洋大学教授インタビュー(聞き手:ぎぎまき記者)

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※サマリーを追記し、動画全編を公開しました(9月8日)。

 「評価会合は本質を見失いかけている」――。

 関西電力大飯原子力発電所敷地内にある断層について検討を重ねてきた、原子力規制委員会の有識者チームは9月2日、第6回にあたる評価会合で、議論の争点になっていた断層に限っては、「活断層ではない」という方向性を示した。有識者の一人である渡辺満久東洋大教授は、IWJのインタビューに応え、今回の結果に同意しつつも、評価会合のあり方について幾つかの疑問を投げかけた。

 これまで有識者らは3回の現地調査を行い、昨年10月から5回の会合を重ねてきた。しかし、関西電力と有識者の間で見解が一致せず、約一年の間、決着が見られなかった。国内の6つの原発で進められている断層調査の中で、活断層の可能性を否定するケースは今回が初。大手メディアも一斉に「活断層ではない」という見出しで速報を出した。

◇「大飯原発敷地内に活断層は存在する」◇

 第6回評価会合の翌日、渡辺教授の研究室を訪ね、見解をうかがった。教授はかねてから、敷地内の活断層の可能性を指摘してきた人物だ。

 渡辺教授はインタビューの冒頭、「一定の方向性、見解の統一は得られた」と述べ、「活断層ではない」という見解を否定はしなかった。しかし教授は、「色々な面でまだ意見の対立はある。完全に見解が統一されたわけではない」と付け加えた。

 この評価会合で争点となっていたのは、3、4号機用の非常用取水路の真下を横切る断層が活断層か否か。渡辺教授は破砕帯と呼ばれるこの断層が非常に柔らかく、手で掘れる状態だったことを現地調査で確認している。その結果からも、「断層活動が最近起こったことを示す可能性がある」という見解を持っていた。

 しかし、破砕帯に見える構造に関しては、渡辺教授は専門ではない。「自分では判断はできなかったので、有識者の中で唯一、構造地質学の専門である重松紀生氏(産業技術総合研究所主任研究員)の意見を伺った」という。2日、重松氏は評価会合の場で、活断層の可能性を否定。渡辺教授は他の有識者と同様、重松氏の主張を尊重し納得をした、という流れだ。

 しかし、渡辺教授は疑問を呈する。

 「重要施設の真下に活断層がないという点では有識者は納得しました。ですが、『大飯に活断層がない』という報道は誤りです。大飯原発敷地内に活断層(将来活動する可能性のある断層等)は存在します」

 評価会合では本来、敷地内を走る復数の断層が評価の対象となっていたが、いつの間にか、重要施設下を走る断層1点に問題が矮小化されていた。そのことを渡辺教授は強く懸念し、「責任を感じている」と語る。

♢こつぜんと消えた「Fー6破砕帯」♢

 渡辺教授がそう話す理由は、重要施設下の断層以外にも、考慮すべき重要な点があり、その議論を十分にできなかったことに自らの「説明不足」を感じているからだ。

 大飯原発敷地内の断層評価が始まった当初、検討の対象となっていた断層は複数あった。その中でも、2号機と3号機の間を南北に600メートル走る「Fー6破砕帯」と呼ばれる断層を代表に据え、評価会合では検討を始めた。「Fー6破砕帯」が活断層となれば、その真上を横切っている非常用取水路の設置は認められない。国内で唯一稼働する原発が停止する可能性もあるとして注目を集めてきた。

 原発施設の下を横断しているため、「Fー6破砕帯」の調査は容易ではない。関電は、「Fー6破砕帯」の北端、原発から約200メートルにある「台場浜」付近にトレンチ(溝)を堀り、有識者も現地調査で断層を確認。渡辺教授は台場浜トレンチの断層について、「将来の活動性が否定できない」、つまり、「Fー6破砕帯」は活断層ではないかという見方を強く持った。「地すべり」を主張する有識者と意見が対立した。

 しかし、評価会合の途中から、関電は衝撃的な展開を見せた。それまでとは全く異なる主張を繰り広げたのである。

 これまで議論の中心となっていた「『Fー6破砕帯』の位置が間違っていました」と言うのだ。渡辺教授は、「マスコミでは報道されなかったが、非常に驚くべき話でした。今でも理解に苦しむ。この点については、2回目の評価会合でかなり厳しく関電に対して指摘しました」と当時を振り返る。

「Fー6破砕帯」はそもそも、1980年後半、大飯3、4号機の設置変更許可申請時に、関電が自らの調査によって示したものだった。当然、国もこの内容で審査を行っている。しかし、26年後、蓋を開けてみると、それまであると思われていた断層がそこにはなかったというのだ。

「(当時、関電は)なんでそんないい加減な調査をやって、しかも審査が通ったのか…」と、渡辺教授はかつての電力会社の調査と審査のずさんさに根本的な問いを投げかけた。

♢土地の隆起を証拠づける台場浜の海岸線♢

 それまで、「Fー6破砕帯」は台場浜と繋がっていたと思われていた。だからこそ台場浜にトレンチを掘削し断層を調査したのだが、「Fー6破砕帯」の位置が変わったことで、台場浜トレンチとの関連性は絶たれた。渡辺教授が指摘していた「活断層の疑い」は評価外となり、争点は非常用取水路の下に見つかった新しい断層一本に絞られることになった。

 この山頂トレンチの断層についても、渡辺教授は活断層の否定はできないとしてきた。しかし山の上にあるため、上層部に地層がない。渡辺教授にとっては専門分野外であり、判断を下すことができない。有識者らは唯一、構造地質学を専門とする重松氏に判断を委ねるしかなかった。

 渡辺教授は、この会合のミッションが重要施設を横切る断層が活断層か否か、であることは理解しつつも、「争点があまりにもそっち(重要施設関連)だけになってしまって、大きな問題を見失いかけているんじゃないか、という思いがある」と語る。

 大きな問題とは何か――。

 教授は「台場浜トレンチで確認した断層が活断層(将来活動する可能性のある断層等)であれば、もっと広範囲で検証すべきことがある」と主張している。

「台場浜の断層は新しいですよ。なぜ、そういうことが起きるのか、ということなんです」

 インタビュー中、渡辺教授は台場浜の地図を指しながら、場所によって海岸線の高さが異なっているデータを示し、かつて、海底の大きな断層が動き、土地が隆起した証拠だと教授は説明した。

「海底断層が動いた時に、敷地がかなり隆起して傾くことが分かってくるわけで、それが起きたとき、原発施設全体の安全性は確認できていますか。検討の対象外となった他の断層は本当に動かないのですか。その検討は必要ないのですか、と。私が一番重要だと思ってきたのはそこです」

 渡辺教授は会合の中で、この主張をずっと繰り返してきた。しかしその話になると『検討対象外』と言われ、それ以上は踏み込めなかったという。

 昨年11月、島崎委員も会見で、「一番大事なのは大飯原発の安全性。その基本に立ち返って議論する」と語っていたが、渡辺教授の懸念は「大飯発電所3・4号機の現状に関する評価会合」の検討チームで評価を継続することになった。

♢「定期検査中に調査をして欲しい」♢

 渡辺教授は…

<この後、渡辺教授は今回の決定に自身も疑問が残る、と胸の内を明かした。関電の報告の信ぴょう性は果たして…。続きはぜひIWJ会員となってご覧ください!>

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2014/01/12 【沖縄名護市長選】選挙権を得た若者たちに聞いた「名護市の将来」~成人式を終えた新成人へのインタビュー

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特集 名護市長選挙

 沖縄県の名護市長選の告示日である1月12日、名護市民会館で「名護市成人式」が行われた。IWJは、選挙権を獲得する二十歳の若者に、将来の夢や思い描く名護市の未来について聞いた。

 小さな子どもを抱えてインタビューに応じた男性は名護市の将来について、「やんばるは自然豊かな場所。基地など色々あるが、特に問題なく、良い将来をみんなで歩めたらいいなと思う」と話し、名護市長選挙では、初となる一票を投じる予定だと答えた。

■ダイジェスト動画

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 沖縄を離れ本州で薬剤師の勉強をしているという女子学生も同じく、「選挙には行くと思う」と話し、地域みんなが仲の良い、平和な名護市のままでいて欲しいという想いを語った。

「名護がもっと明るくなってくれれば」

 そう話した男性は、土木関係の仕事に就いている一方、地元では沖縄県の伝統舞踊、エイサーを踊っていると話す。

 沖縄県では、各地域の青年会がそれぞれのエイサーの型を持ち、地域の行事に積極的に参加する。代わりに、地域全体で若者たちのエイサー文化を支えるという、相互関係が存在し、世代間がつながるコミュニティを作り出しているという。

 名護の明るい未来を願うこの若者は将来、「社会貢献できる大人になりたい。これからも地域に根ざしてがんばりたい」と語り、名護市長選挙には行く予定だと話した。

基地の話題は沖縄ではタブー化している

 この日、新成人に話を聞いたIWJ中継市民のKEN子さんは、「若者は選挙に行かないだろうと思い込んでいた。話を聞いたのはほんの一部ではあるが、みんな(投票に)行くと言っていて驚いた。自分たちの未来や街のことを考えながら投じた一票が、どうなるのか見守りながら、子どもたちの世代に繋がっていけばいいと思う」と、今日のインタビューを振り返った。

 基地問題は、沖縄県ではダブー化した話題の一つだという。KEN子さんは続けて、「緊張したインタビューだった」と話し、「土木関係で働いていると言っていたあの男性も、おそらく基地関係の仕事ではないかと思う。ここでは、顔を出した形で、基地に対する本音を語るのは難しい。はっきりとは言わなかったが、基地に反対しているんだろうなと受け取れる回答もあった」と、沖縄県民の間に交錯する複雑な思いについて触れ、「直接的な基地に関する質問はできなかったが、選挙に前むきな若者が多く、嬉しかった」と、インタビュアーとしての胸の内を語った。(IWJ・ぎぎまき)

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2014/01/13 【京都】京都市成人式式典後の新成人へのインタビュー

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 1月13日(月)、京都市勧業館みやこめっせで「京都市成人式式典」が行われ、参加した新成人へ、20歳となった感想や将来の夢、選挙や政治参加についてなどをインタビューした。

■Ustream録画(11:33~ 154分間)

2014/01/28 【東京都知事選】マック赤坂候補「自民党は民主主義を守っていない。本当にレベルが低い」と痛烈批判

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140128_東京都知事選 マック赤坂候補 インタビュー

特集 2014東京都知事選

 東京都知事選に出馬しているマック赤坂候補が、1月28日、IWJの単独インタビューに応じた。

 石原都政について、マック赤坂候補は、「排ガス規制など良いこともあった」としながらも、石原氏の「右翼・ネトウヨ的体質が問題」と述べた。「元自衛隊の人を支援したり、原発を推進したり、集団的自衛権の行使や憲法9条の改正を言ったり・・・。この人に任せたら、本当に戦争が起きるんじゃないかなという怖さがある」。また、クラブや漫画を規制したことについて、「石原氏自身は、一橋大学の時に、若者が青春を謳歌する小説を書いた。自分がおじいさんになったら、若者潰しをした」と批判した。

■インタビュー

■街頭演説

  • 日時 2014年1月28日(火) 14:30~
  • 場所 JR渋谷駅 ハチ公前(東京都渋谷区)

 また、昨年12月に成立した特定秘密保護法に話が及び、同法案審議中に自民党の石破茂幹事長が抗議行動のデモを「テロ」という趣旨の発言をしたことについて、マック赤坂候補は「とんでもない発言」と評した。マック赤坂候補は、正当な手続きを経て認められたデモは「直接民主主義のひとつの有効な手立て」であるとし、「それを否定するなら、彼(石破氏)は民主主義を守っている自民党の幹部だとは思えない。本当にレベルが低い」と痛烈に批判した。

 マック赤坂候補は、1月17日の出馬会見で投票率の低さを懸念する発言をしている。これについて、インタビューでも「社会的問題」と述べ、「棄権と、投票に行って白票を投じることとは違う」、「投票に行くことを義務化すべき」と語った。

 マック赤坂候補の主要政策の一つは、うつ病対策(副作用のある抗うつ剤の全面禁止)。この日行われた渋谷駅ハチ公前での街頭演説では、「医者に行ったら、うつ病でもないのに、朝昼晩3ヶ月分の抗うつ剤を出される。治るどころかどんどん酷くなる」と訴えた。マック赤坂候補のうつ病対策に共感する、江口友子・平塚市議会議員も応援演説に駆けつけた。(IWJ・石川優)

■都知事選出馬会見 記事

■マック赤坂氏 2013参議院選挙 記事

2014/02/18 竹野内真理氏インタビュー

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 2月18日(火)、フリーランスジャーナリストで翻訳家の竹野内真理氏にインタビューを行った。竹野内氏は、自身のツイートの発言をめぐり、福島エートス代表・安東量子氏(鎌田陽子氏)に侮辱罪で刑事告訴されている。

※2014年2月23日現在、IWJでは安東量子氏へもインタビュー取材を依頼しております。

  • 収録日時 2014年2月18日(火)
  • 配信日時 2014年2月21日(金)
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2014/03/13 【大阪市長選】候補者・藤島利久氏緊急インタビュー

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特集 2014 大阪市長選

 3月13日(木)、大阪市北区のOAP PLAZAで、大阪市長選挙に立候補している藤島利久氏に緊急インタビューを行った。昼のマック赤坂氏緊急インタビューに引き続き、原記者が聞いた。

■イントロ動画

  • 日時 2014年3月13日(木) 17:00頃~
  • 場所 OAP PLAZA ロビー(大阪市北区)
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■報告ツイート

2014/03/13 「維新の会の嘘つきの本質が見えた」マック赤坂氏が橋下氏演説会での暴行事件について激白

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140313_大阪市長選候補者・マック赤坂氏緊急インタビュー

特集 2014 大阪市長選

 「『マックが攻めてくるぞ』という恐怖感が必要以上の暴力につながった。正当な戦いが昨日から始まった」―-。

 3月12日、大阪市北区で行われた橋下徹候補(前市長)の個人演説会で、質問しようとして「維新の会」関係者ら2名に羽交い締めにされ、全治一週間の怪我を負ったマック赤坂候補(スマイル党総裁)。明けて13日の午後12時、IWJ原佑介記者の単独インタビューに応えたマック氏は、事件の詳細を説明したうえで、「維新の会の嘘つきの本質が見えた」と批判を展開した。

【速報】マック赤坂氏が橋下徹氏の演説会で暴行被害 ~12時より緊急記者会見を開催 直前にIWJで単独インタビュー

  • 記事目次
  • 「維新の会の嘘つきの本質が分かった」
  • 公開討論会を避ける橋下氏とメディアの不公平な報道
  • 「暴力と非暴力、戦争と平和、維新の会とスマイル党の闘い」

■イントロ動画

  • 日時 2014年3月13日(木) 12:00頃~
  • 場所 ホテル ザ・リッツカールトン大阪(大阪市北区)
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「維新の会の嘘つきの本質が分かった」

 マック氏が質問しようとしたことに対し、ネット上では「大声を出した選挙妨害」「公職選挙法違反」という批判の声もあがっている。維新の会の大阪府議会議員である尾田一郎氏は、Twitterで公選法164条「合同演説会開催の禁止」に違反すると指摘している。

 こうした批判についてマック氏は、「あれは合同演説会ではなく質問。大声も出していないし、公選法には全く引っかからない」と反論。そのうえで、「このエクスキューズは彼ら自らの首を締めることになる。なぜかと言ったら、大勢の報道員全部、カメラが撮っている。橋下、維新の会の嘘つきの本質が分かった。彼らのやり方すべて。彼らのやり方が暴露された」と語った。

 そもそも、いかなる理由があろうとも、質問をしようとした相手を「大人数で暴力的に排除する」という行為の正当化にはならない。

 産經新聞の報道によれば、維新側は「騒ぎが大きくなり選挙運動を妨害されたため外に出した」と説明しているという。

マック赤坂氏ら2候補が羽交い締めに 橋下氏演説会場でトラブル(産經新聞 2014.3.12 22:59)

 しかし、マック氏の質問の際には、松井一郎幹事長が「公選法違反になるのでマイクは渡せません」と発言し、これに対してマック氏が「では肉声で」とこたえ、松井幹事長も「では手短に」と質問を認めている。壇上の松井幹事長と橋下候補は、マック氏の肉声質問を選挙妨害・公選法違反とはみなしていないことが分かる。上述の維新側の説明とは矛盾する。

 維新の会は少なくとも、この犯行に及んだ維新関係者らの「勇み足」については謝罪すべきではないだろうか。

  ▲「全治1週間の右肩打撲」医師によるマック氏の診断書

 

公開討論会を避ける橋下氏とメディアの不公平な報道

 橋下氏の個人演説会で質問しようとした理由について、マック氏は「直接、公開討論会参加のお願いを渡そうと思った」と語った。橋下氏は、選挙前から選挙期間に突入した現在まで、公開討論会への参加を拒否し続けている。9日にマック氏が討論会の提案をさいた際も、橋下氏は「話が噛み合わないと申し訳ない」と断ったという。

 マック氏は「噛み合わないのを噛み合うようにさせるのが討論会。4人しか出てないんだから、討論会なんてすぐ開けるよ。彼は逃げている」と、橋下氏の姿勢を痛烈に批判した。

 公開討論会をここまで望む理由として、メディアによる「橋下候補vs泡沫候補」という恣意的な報道をあげた。マック氏は「メディアに出るのは橋下だけ。我々は政策を訴える場所がない。じゃあどこで訴えるのか。それが公開討論会」と、その重要性を強調。しかしマック氏らが「橋下氏が来なくても3人で公開討論会を開いて欲しい」と要請しても、幹事社である毎日新聞が記者クラブメディアの意向を取りまとめた結果、「3人では開けない」という決定に至ったという。

 マック氏は、「みな240万円の供託金を払って戦っている。橋下氏は人の心底(しんてい)が分からない男だ」と、公開討論会について首を縦にふらない橋下氏に苦言を呈した。

「暴力と非暴力、戦争と平和、維新の会とスマイル党の闘い」

 今後のマック氏の動きとして、民事による損害賠償請求と、刑事告訴を考えているという。刑事告訴の相手を維新の会にするのか、橋下候補・松井幹事長にするのかについては、警察と相談して決めるという。

 マック氏は、「橋下氏は人気が下がってる、マックはどんどん人気が上がってる。検事も裁判官もマックのファン。警察も今回の事件で、開口一番『実はマックさんのファンなんです』と言ってきた。私も馬鹿じゃない、裁判については誰よりも詳しく頭に入っている」と語り、今後も維新の会と闘う姿勢をみせた。

 最後に、会場で質問機会を奪われた、という市民の声に対しては、「大阪都構想における大阪市民の苦しみを知っているのかと、私は質問したかった。結果的にご迷惑をかけて申し訳ないです。ただ、その場を乱すつもりは全くなかった。暴力行為をされて、110番せざるを得なかった」と謝罪した。

 13日付の産經新聞記事によると、このマック氏への暴行事件について、松井幹事長は「マック氏は(マスコミに)取り上げてもらいたいだけ。みんな写してあげてよ」と苦笑し、橋下候補も「候補者なのだから、(橋下氏の個人演説会に来るのではなく)自分の政策を外へ訴えた方がいい。僕らは相手をしている時間もない」と語ったという。(取材:原佑介、記事構成:安斎さや香・佐々木隼也)

騒動から一夜明け…「マック氏、写してあげて」維新・松井氏(産經新聞 2014.3.13 11:37)

 
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■報告ツイート

2014/04/24 【鹿児島2区補選】「選挙の争点は『政治とカネ』だけではなく『安倍政権の暴走』を許すかどうか」~有川美子候補インタビュー ━原佑介記者

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 山本太郎参院議員の立ち上げた「新党ひとりひとり」から衆院鹿児島2区補欠選挙に立候補した有川美子候補に、IWJは投開票日(4月27日)を直前に控えた24日、単独インタビューを行った。

 どのような思いで立候補したのか、また原発、TPP、増税問題、さらには日本の戦争参加に突き進む安倍政権について、有川候補はどのように考えているのか。以下、インタビューの模様を一問一答形式でお伝えする。

  • 記事目次
  • 出馬への決意「他の候補者は原発を本当に止める気があるのか」
  • 争点は「政治とカネ」ではなく「『安倍政権の暴走』を許すかどうか」
  • 有川候補が触れた鹿児島二区の住民の思い
  • 介護福祉分野は、「経済成長の柱」でもある
  • 鹿児島の農家の男性の悲痛な声「TPP交渉に参加した時点で諦めた」
  • 火山、活断層、不安定要素だらけの再稼働No.1候補「川内原発」について
  • 有川候補に届いた心の叫び「食べていけないよ!」
  • 武力行使をすれば日本が戦場になり、原発が狙われる
  • 「日本の福祉の母」を目指して
  • 「有川美子」の人生を変えた甥っ子の死

■イントロ動画

  • 収録 2014年4月24日(木) 22:30~
  • 場所 有川美子選対事務所(鹿児島市)
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出馬への決意「他の候補者は原発を本当に止める気があるのか」

――まず、今回鹿児島2区補選に立候補した経緯、きっかけ、動機について、これまでどのような社会的関心を持ってきたのか、どのような目で日本の政治情勢を眺めていたのかも含めて教えてください。

「正直、20代の頃にしっかりと政治に関心があったわけではないんです。投票は行っていましたが、自分の1票の大切さがわかっていなかったし、友だちに、『誰に入れても変わらないんだから投票なんて行かなくてもいいんだよ』と言われて、『なるほど』と思った時期もありました。後悔しています。一票は重いし、もっと考えて投票していればよかったという反省の上に、今、立っています。

 今回の立候補は誰にも相談しませんでした。私は福島事故以前から、鹿児島県に川内原発があることは不思議に思っていました。原発に対してもともと疑問に思っていたので、(5年前に)鹿児島に帰ってきてから原発の見学に行き、反対運動にも参加していました。今年の3月16日、『脱原発1万人集会』があって、6千?7千人が集まったんです。私は集会の司会を務めていたのですが、そこでゲストの山本太郎さんがマイクを握って、『今度の鹿児島2区の選挙で候補者を立てたい』と言った。理由は、『他の候補者は原発を本当に止める気があるのか』とのことでした。

 山本太郎さんが公募するということで、私も候補者を探していたのですが、立候補してほしかった仲間が、立候補できない、ということになり、応募しようと決めました。

 一点だけ悩んだのは、私が当時、認知症対応型グループホームで主任として働いていたことです。私がシフトから抜けることで、夜勤も誰かに変わってもらわなければいけない。

 上司にだけは言いました。『応募したのでもしかすると選ばれるかもしれない』と。そして上司、病院の事務長と話し、「前例はないが、応援する。ここで一回、退職をしよう」言ってもらい、立候補が決まりました。

 立候補した動機の一つは、原発を止めたいということ。また、福祉現場で、『どうしてこんなことになっているのか』と行政についても考えきたことです。身体の弱い人や高齢者には手厚くしなければいけないのに、年金も下げて、生活保護受給も下げて、生活保護にしても、どうしても病気だからもらわなければいけない人がいるのに、『不正受給している人ばかり』みたいな報道に憤りを覚えていて。『社会を変えるためには政治が必要だ』という気持ちが喉元まで出ていたときに、公募の話が出たんです。だから、タイミングです。原発を止められるのであれば、市議選でも県議選でもいいんです」

争点は「政治とカネ」ではなく「『安倍政権の暴走』を許すかどうか」

――今回の選挙は徳田毅議員の辞任を発端にはじまった選挙であり、増税後、初の選挙でもあります。そうしたことからも、安倍・自民党に対する『信任選挙』とも呼ばれています。そんな中、今回の選挙を、ありかわさんはどのように位置づけていますか? 市民は、どのように一票を投じる先を選ぶべきだと思いますか?

「徳田議員の辞職は、ルール違反をしたので償うことが大事ですが、正直、そうした『政治とカネ』の問題は今までもあったんじゃないかと思うんです。『保徳戦争※』といわれた時代にあったんじゃないかと思うんです。それがなくなったわけじゃない。全国にもあると思うし。

『政治とカネ』の問題というのは、私は違う、争点をぼかしているだけだと思うんです。まず、安倍政権が増税しました。これが一点、そして川内原発が先陣を切って、この夏にも再稼働しようと進んでいること。こうした大きな争点があります。TPPの問題も今交渉中で、集団的自衛権、そして秘密保護法も。『安倍政権の暴走』という意味で争点は繋がっています。『政治とカネ』というのは、これをごまかそうとするための目眩ましをされているような状態なのではないでしょうか」

※1980年代の、鹿児島県奄美地方の衆議院議員総選挙で保岡興治と徳田虎雄の間で展開された選挙抗争のこと。金権選挙の象徴と言われている。

有川候補が触れた鹿児島二区の住民の思い

――選挙活動を始めて、多くの地元住民と意見交換をしたかと思うが、その中で寄せられた声はどのようなものがありましたか? 岩上安身によるインタビューの中で、山本太郎議員が、『街頭で市民のみなさんにアイサツに回っているときも、一人ひとりと話しすぎてしまう』とおっしゃっていましたが。

「ある時、山本太郎さんに『選挙戦でつらいことはないか?』と聞かれました。特にないんですが、一つだけあるんです。『話を聞いてほしい』と言って手を握ってくださる方の話をじっくり聞けないことです。

 沢山の人に会ったほうがいいのはもちろんわかるけど、涙ながらに訴えてくる人もいるんです。今日も、お年寄りの方が、『年金が下がっている』と言ってこられました。年金の支給は2ヶ月に一回ですよね。支給された月はいいが、次の月はギリギリ。食べ物を削ったりするしかない。『下げられたのが本当に困っているし、それなのに消費税が上げられて、どうしたらいいかわからない』とおっしゃっていました。そうやって苦しんだり、困っている人の声を聞かなければ政治にも反映できません。

 奄美群島は島ごとに違う事情を抱えています。どこも超高齢化社会に片足を突っ込んでいる状態ですが、例えば私が第一声をあげた与路島。与路島には数十人しか住民がいませんが、とても美しい島なんですね。週に2日、隣の少し大きめの『加計呂麻島(かけろまじま)』という島からヘルパーや介護士が通うのですが、海がしけたりや大雨が降れば、船も出ません。元気なうちはいいが、『歩けなくなった』、『病気になった』、そうなれば島を出ないと過ごせないんです。いつまでも島で暮らしたいが、それができなかったりする。奄美大島は大きいので、観光だったり、(TPPで)サトウキビの問題が出てきます。大きく言えば『高齢化』、『TPP』は共通していますが、逆に小さい島が多いからこそ、島ごとにそれぞれ違います。

 そうした声は足で歩いて聞くしかない、と感じて奄美群島から帰ってきました。一時的な交付金がくるのはもちろんいいけど、本当に島民の皆さんが望んでいるのはそういうことなのか。予算の使い道を各自治体が決めてくれればいいけど、今までだと、大きい道路やトンネル工事など、ハード面にばかり行ってきたので心配です。小さくても、暮らしがよくなる方向にきちんと使われなければいけません。

介護福祉分野は、「経済成長の柱」でもある

――では政策についてお聞きしていきたいと思います。鹿児島県、また日本の介護・福祉政策の問題点と、今後、どうそれを改善していくべきか。これまでの介護福祉士としての経験を交えながら、お考えを聞きたいと思います。

「介護福祉分野は、これからお年寄りが増えるので、その分、需要が増えます。私は『経済成長の柱になる』と訴えていますが、そのためにも、人材の確保と若手の育成を急ピッチでやらなければいけません。お金があっても入る施設がない、介護する人が育っていない、というのであれば、今でさえ老々介護と言われているのに、これから大変な時代が来る、と危機感を覚えています。

 介護福祉士の専門性も、もっと高めなければいけません。社会的地位も給料も低く、医療と介護福祉分野には差があります。この分野全体を上げなければならない。国が本気でこの分野に税金を投入し、デンマークやドイツから学ばなければいけない。

 デンマークは、簡単にいえば、自分の父が要介護になったら、子どもではなく、国がきちっと面倒を見てくれることになっているんです。支援体制が整っていて、国が面倒を見て、介護福祉士の勉強期間も長く、専門性も高い。日本では、例えば両親が鹿児島の田舎で介護が必要になったら、息子が東京から早期退職して介護のために戻ってくるということもたくさんあります。

 実は、介護に対する支援は民主党政権のもとであったんです。介護する人に向けて、給料を月額15000円増やせ、と。実際に増えました。しかし、簡単にそれぞれの手元にきているわけでなく、グループや病院などの事業者に扱いが任せられていたので、全員が一律に15000円ベースアップしたわけではありませんでした」

鹿児島の農家の男性の悲痛な声「TPP交渉に参加した時点で諦めた」

――鹿児島は農業県であり、またサトウキビ栽培が盛んな奄美大島を抱えるということで、今後のTPP交渉が大きく生活に影響してくると思います。このTPPについての考えをお聞きかせください。また、地元住民のTPPへの不安の声はあるでしょうか?

「日本は今からでも勇気を持ってTPP交渉から離脱しなければいけないと思う。農業、漁業、畜産業が壊滅状態なることが見えているのでJAさんも反対しています。(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物)5品目も、守れるとは信じられません。

 農業に関わっていない一般の人は(TPPは)自分とは関係ないと思うかもしれないが、そうではない。介護福祉士でも、海外からもっと低賃金でき働ける人が入ってきて、今の時点でも満足な給料ではないのに、事業者が、人件費を削減できる外国の人を使いたがるのは目に見えています。

 また、『軽自動車が安すぎて米国の車が売れない』と言われれば自動車産業にも影響が出てくるし、医療・保険も、米国のような保険になれば、例えば病気になった時に、民間の保険に入っていなければ大きな病気になったときに病院にもいけず、命を落とす未来が目に見えている。国益がありません。

 指宿で、30代くらいの農家の男性が、『TPP交渉に参加した時点で諦めた』とおっしゃっていました。『5品目なんて守れるはずがない』と。私は『諦められないから反対して、立候補している。諦めたらだめじゃない?」と話しかけましたが、『政治家はいいことをいう。自民党はTPP断固反対といっていたので、その時は信じたけど、結局は違った』と言っていました。それでも『民意はTPPに反対だ』ということは伝えなきゃいけないし、それをあらわすのが『鹿児島2区の選挙だ』と話しました。

火山、活断層、不安定要素だらけの再稼働No.1候補「川内原発」について

――川内原発の問題も、住民にとって不安要素だと思います。原発から800m横には活断層があるとも言われていますし、先日は火山の影響評価を慎重にすべきだ、と原子力規制委員会の島崎邦彦さんも指摘されていました。川内原発について、また日本の原発政策について、ありかわさんのお考えをお聞きしたいと思います。

「原発が日本にできた当初、国民に言ったことが、『核の平和利用』でしたが、平和利用なんてできるわけがないですよね。核を持つということですから。3年前の福島第一原発事故時、私は30代でした原発に興味がなかったり、電気を好きなだけ使っていた世代の考えが、根底から覆されたと考えています。

 私が中学生の時、チェルノブイリの事故がありました。ニュースをみていた親が、『大変ことをソ連がした。日本にも影響が出るじゃないか』と言っていたし、学校の先生は、『牛乳は飲むな、雨に打たれるな』と言っていた。ニュースの映像も覚えています。

 今、まさに日本が原発の事故起こして、たくさんの人が被曝しました。それでも原発を持たなければいけないという理由が、根本的にわからない。3年経っても避難所生活の人もいるし、私の友だちには、関東から鹿児島にきた避難者がいっぱいいます。子どもがいる人ばかりでなく、独身の人もです。『勇気が必要だったが、本当に怖かった、目に見えない放射能から逃げてきた』と。そういう方たちの声をまったく無視した状態で、原発を海外に売ろうとしたり、電気が足りているのに再稼働させたり。

 自分の利権のために人の命を蔑ろにしようとしているとしか思えない。だから私は強く反対しているし、800mのところに活断層や破砕帯がある事実を、九州電力は重く受け止めて欲しい。桜島は年間1000回爆発しています。みんな、心の中では「そろそろ大きな噴火が来るんじゃないか」思っている。原発と結びつけている人、いない人がいますが、私は怖いです。原発を動かすなどとんでもない。即廃炉を決めるべきです」

有川候補に届いた心の叫び「食べていけないよ!」

――消費税増税についても反対されていますよね。来年の10月には10%になるようですが、すでに今月から8%に増税してしまいました。それに対して、国会議員として、どうアプローチして反対していくつもりなのでしょうか。具体的な方法を教えていただきたいと思います。

「まずは食料品などの生活必需品を非課税にすることです。私はホームレスの炊き出しボランティアもしてきました。路上で寝泊まりされている方はもちろん、生活保護をもらって職探ししている人もいましたが、色んな方を見てきた中で、ギリギリでやっている人にとって、今回の増税は本当に影響が大きい。選挙で回っている中で、生活保護をもらっている方が、『食べていけないよ!』と叫びました。心の叫びだと思う。

 食料だけでも非課税にすれば、ぜんぜん違います。食べ物は買わざるを得ない世の中です。本当にギリギリの人は死活問題、命に関わる。ご飯が食べられないと人の心もやっぱり弱いものになっていくし、前に消費税が5%に上がったときも、翌年から自殺者が3万人に上がりました。これを国は強く、深く受け止めてくれないと、来年が怖いと私は思います。少しずつ生活が苦しくなって、最後は死を選ぶ人が増えるのではないか。そう心配しています」

武力行使をすれば日本が戦場になり、原発が狙われる

――昨年末の臨時国会で可決した『日本版NSC』、『特定秘密保護法』。安倍政権は、戦争を想定した法整備に邁進しています。今も安保法制懇で集団的自衛権の行使を認める方向で議論し、調整していますが、有川候補は、秘密保護法や集団的自衛権の行使に対しても反対していらっしゃいます。こうした現政権の動きに対して、どのようにお考えなのでしょうか?

「今おっしゃられたように、戦争ができるように準備が進められているわけですよね。秘密保護法についても、今まで日本では、自衛隊などで秘密漏洩事件があっても、実刑にはなっていません。でもアメリカの法律、罰則が適用されるわけだから、これからは10年という単位で懲役になってしまうという厳罰化がなされました。そんなことをしなくても秘密は守られていくだろうし、集団的自衛権の行使容認や原発、消費増税も全部含めて、安倍政権が国民を一人の人間としてみていない証拠だと思うんです。

『もの』であって、『人』じゃないんだと思います。だから簡単に戦争する国にしようとしている。安倍さんの個人的なことはわかりませんが、戦争したいという人たちはいると思う。軍需産業もあるし、それで儲かる人もいる。その人たちは敗戦で苦しんだ人たちのことを知らないのだと思います。

 私も知らないけど話は聞いていて、シベリアに抑留された80代の知り合いのご婦人は、『満州からの引き上げ船の中でも、何人もの人が死んでいって、その亡骸を海に流してきた』という体験を話してくれました。私は戦争というものを知らずに育ってきて、幸せなんです。みんな『平和がいい』って言いますが、この『平和』とはなにか、考え、国がしっかり保つことが大事です。

 集団的自衛権行使は、イコール『武力行使』。自衛隊がまず命の危機にさらされる。海外で戦争になったときに、これだけ原発が会って、日本に攻撃がこないことはありえないでしょう。『世界の最低ラインとして原発は狙わない』と主張する人もいますが、私はそうは思いません。必ず原発を狙ってくる。そんな危険なものを持ちながら、こんな危険な動きがある。止めて行きたいです。

――どのように止めていきますか?

「まず秘密保護法を廃案にする方法ですね。これについては、まずこの鹿児島二区できちっと訴えています。『秘密保護法も、集団的自衛権講師も認められない』という私が、この鹿児島2区で勝つことが第一歩。自民党さんが公認している候補者、他の政党候補者たちと一番違うところの一つでもあります。私が勝つことが大きな一歩になると思います」

「日本の福祉の母」を目指して

――HPを見ると、TPP、増税、原発、集団的自衛権、秘密保護法などに「反対」されていることはわかるのですが、では、「何に賛成し、何を積極的に進めていくか」ということがいまいちわかりません。議員として国政に関わる上で、どういう国作りを目指していきたいのか、ヴィジョンを具体的に教えて下さい。

「私は、経済的に弱い立場の方と、社会的、地理的に不利な条件にある人に光を当てたいと申し上げています。

 この選挙戦で、私の政策は『命の問題』だと訴えています。どんな状態で生まれようと、健康だろうとハンディがあろうと、全員が最低限の文化的な生活をしなければならない、憲法で定めてあるんだと。障害を持ったお子さんのお母さんから結構声をかけていただくんです。『離島では支援の学校がないから作ってほしい』とか。

 女性は、産んだ子どもにハンディがあると、自分を攻めてしまうものなんです。この子が大人になったらどうしよう、どういうふうに生きていくんだろうという不安があるんです。介護福祉でも、子どもたちの介護もあります。障害をもった子どもたちの学校が離島にあるようにしていきたい。徳之島にはないので、そこは支援できるように。日本で困っているところがあれば、きちっと応援ができる、『鹿児島の福祉のお母さんになりたい』と私は言っていますが、国会議員になることで、『日本全体の福祉のお母さん』として走り回れる状態にしたい。

 私は、障害を持った甥っ子の看病をしていたので、教育を変えてほしいと思うことがあります。自閉症の子をかかえている友だちが何人かいます。小学校に上がる段階で『どうしようか』という話になります。どっちも自由に選べればいいと思うんです。普通の学級に入れてみるのか、支援のほうにするのか。親がしっかり判断して選べたらいい。みんなと同じ学級に入って、難しいかな、って思ったら変えればいい。

 甥っ子のために、妹と、車いすを二台購入しようと話したことがありました。一つは自宅用に使う、電動のです。右しか手が動かなかったので。

 彼の補助になればと考えて役場に相談に行った時に、役場から教育委員会に電話がいって、教育委員会の方からこちらに電話がきました。『市では電動車いすは例がないので使えません』と。私たち妹家族は電動車いすで小学校に行かせてくれなんて言っていません。最初から選ぶ権利がなく、やめてくれというのは、やはり教育現場もおかしい。どういう状態であろうと、子どもが6歳になって小学校に上がるというときには、選べる社会になってほしい」

「有川美子」の人生を変えた甥っ子の死

――ありがとうございました。有川候補が社会福祉士になったことや、今回立候補したことには、甥っ子さんの介護、という経験が影響しているのでしょうか?

「甥っ子が10歳で倒れ、それから1年3ヶ月後に亡くなるまでずっとそばにいました。それをきっかけに鹿児島に帰ってきたんです。医者からは余命1年と言われ、覚悟を決めていました。ご飯も食べられず、それでも学校にいきたいと、リハビリも頑張っていて。子どもたちが苦しんでいる姿も見ているので、影響がありますね。だから介護福祉士に辿り着いたので。現場で、命を預かる仕事に就きたいとうのは甥っ子の経験からです。

 私は綺麗事ばかり言っているように思われるかもしれませんが、それしかないのです。命はみんなが平等に持っていて、いつかは手放して別れなければいけないものじゃないですか。でも、それまではどんなにしんどくて、苦しくても、生きていかなければいけない。

 ある人に言われました。『あなたの思っていることが綺麗なことであれば、心の鏡が社会なんだから、社会がおかしいと思うのであれば、あなたの努力が足りない』と。そのとおりだと思いました。だから私は行動する。私の心を社会に映す手段の一つなので。だから今回、立候補というふうになっているんです」(IWJ・原佑介)

 
※ IWJでは、大手メディアではあまり報道されないこの鹿児島2区補選について、現地住民の生の声や、鹿児島が抱える様々な問題を、密着して伝えています。また今回出馬した候補全員を、可能な限り取材し、その訴えや考えを、公職選挙法で定められている範囲でなんとか報道していきたいと考えています。IWJのこうした取材は市民の皆さまのご支援、ご声援で成り立っています。ぜひ、会員登録やご寄付によって、今後もIWJを支えていただければ幸いです。

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2014/04/25 【鹿児島2区補選】「政権与党の候補者を打ち破り、悪いところを正す」~打越明司候補インタビュー ━原佑介記者

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140425_衆院鹿児島2区補選 IWJ・原記者による、無所属 打越明司候補インタビュー

 民主党、日本維新の会、結いの党、生活の党の野党4党から推薦を受け、今回の衆院鹿児島2区補欠選挙に無所属で出馬した前衆議院議員の打越明司(うちこしあかし)候補に、IWJは投開票日(4月27日)を直前に控えた25日、単独インタビューを行った。

 「政権与党の公認候補を打ち破る」と意気込む打越候補が掲げる政策とは。また、自民党との違いはどのようなところにあるのかについて、以下、インタビューの模様を一問一答形式でお伝えする。

  • 記事目次
  • 「無所属の候補が政権与党の公認候補を打ち破る」
  • 「政治とカネ」の問題「ここから目をそらして戦うわけにはいかない」
  • TPP「なんとかならなければ」離脱も
  • 原発再稼働「みなさんのGOサインが整った場合にはある」
  • 少子高齢化社会が直面する問題をこれからの課題に

■イントロ動画

  • 日時 2014年4月25日(木)20:45頃~
  • 場所 打越あかし事務所(鹿児島市)
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「無所属の候補が政権与党の公認候補を打ち破る」

――選挙戦中盤を迎えて、手ごたえは?

 「無所属の候補が政権与党の公認候補を打ち破る、本当に鹿児島からモノを言う、そういう選挙にしようじゃないかと。良い答えを出そうと、そういうみなさんの思いが日に日に増してきているというふうに思います」

――今の与党に「任せられない」という思いがある?

 「与党・野党の対立構図で選挙をしていませんから、人を選ぶ選挙だと訴えて、どの人が、その地域のみなさんを最もよく受け止めているのか、実行できるのか、地域のためにこれまでも、これからも汗を流せる人は誰か、そういう戦い。そして、政権与党の候補者を打ち破ることで、数々の良いところもあれば、悪いところもある。悪いところをしっかりと正すのが政治。そういう役割を果たしていかなければならないと思います」

「政治とカネ」の問題「ここから目をそらして戦うわけにはいかない」

――今回の選挙は「争点が見えにくい」と言われる中で、有権者が注目しているのは「政治とカネ」の問題なのか?

 「それぞれ立場が違うでしょう。候補者の立場も違うし、有権者のとらえ方も違うと思います。ただ、はっきりしていることは、この選挙はなぜ始まったのかということ。それは、大きなカネと選挙、引いてはカネと政治、そのことが、この選挙の引き金であって、そのことから目をそらして、選挙を戦うというわけにはいかない。しかも私は、これまでずっと、そのことを訴えてきた候補です。戦い続けてきた候補です。

 お金を持たない候補であるということは、とても有名になってしまっている。だから、自分のキャッチフレーズは、『いつでも一生懸命、いつでも汗まみれ』ということで、政治家の姿、政治のあり方が問われているという面では、カネが絡む絡まないだけではなくて、本当の代表者は、どうあるべきなのかを訴えてきている。現役の国会議員もしていたので、それぞれの地域に応じて、特に関心のあること、みなさんの生活に関わることについては、私もいろんなかたちでお話をしています」

TPP「なんとかならなければ」離脱も

 「特に、TPPについては、重要5品目と言われるようなものの中で、畜産王国と呼ばれる鹿児島の大きな部分を鹿児島2区は担っています。畜産農家の非常に多い地域。もう1つの重要品目であるサトウキビを持っている地域。サトウキビが島の命の産業になっている。つまり、重要5品目のうちの大半が存在する地域ですから、そういったことについて、これまでも主張してきましたし、これからもしっかりと守りながら、対策を1つ1つ組み立てていく。

 今回はTPPの交渉の行方は非常に話題になっていますが、具体的な対策はどうなるのかという議論はほとんど出てきていません。そのことをしっかりと準備しなければならないというのは、前回の総選挙の時にも訴えてきたことでありますし、地域で大事な問題については、話をしてきていると思います」

――TPPには「反対」?

 「TPPのしくみそのものは、世界中の国々ができるだけ活発な交流をしようと、交易をしようという方向は、日本も諸外国も同じであって、交渉自体はハードではあるけれども、しっかりやらなくちゃいけない。逃げ回っていても、いつかは必ず捕まる話です。

 ただ、交渉をやるのであれば、姑息な手を使わずに、つまり前回の自民党の選挙みたいに、国民には『交渉参加しない』ということを訴えながら、2ヶ月3ヶ月後には『交渉する』と。その理由は、『聖域を認めてくれたからだ』と言って、その1年後、『聖域を認めてくれてるのか』と言ったら、『まったく認めてくれていない』と。話が違うじゃないですか。

 これはTPPの問題というよりも、TPPに向かい合っている政党の姿勢がおかしい。全体としてはそう言いながらも、例えばTPPに関わる地域の自民党の議員は、『絶対守る、絶対守る』の大合唱。しかし、『絶対に守る』という方法は提示しない。

 具体的に10年なら10年、20年なら20年、100年なら100年かけて、どう我が国の産業あるいは農業以外の分野も含めて、制度的に準備ができるのか、できないのか、いくらかかるのか、どういう方法であれば、みなさんは自分たちの生活を守りながら次の時代に引き継いでいけるのかという道筋を示すことが、政治家の仕事でしょう。それができていない。一番肝心なところから逃げ回っている、そんな気持ちがします。TPPについて、今一番言いたいのは、自民党って、全然嘘つきじゃんと。それを言いたいです」

――自民党とは違うかたちでのTPP参加の道筋を示せるか?

 「それぞれの分野の勉強をさせていただいています。砂糖の糖価調整制度などは、日本で最も詳しい議員の一人だと思います。どういうしくみにして、どのぐらいの準備をしていけばなんとかなるのか、ならないのか、ならないものについては、絶対に守るしかない。守るという交渉をする。なんとかなるということであれば、なんとかなる道筋で交渉をする。それが交渉でしょう」

――なんとかならないのであれば、離脱も?

 「なんとかならないのであれば、守り切るという立場で交渉する。守り切るという立場で相手が交渉しないのであれば、合意に達しなかったねということになる」

原発再稼働「みなさんのGOサインが整った場合にはある」

――火山が噴火した場合、川内原発は福島原発事故の何百倍もの事故につながると分析している専門家もおり、避難計画も遅れているが、再稼働できるのか?

 「再稼働もルールですから、規制委員会もルールを作って、これまでの保安院・安全委員会のように独立が確保されていない、むしろ原子力ムラの人たちがやっている、そんな批判もある中で独立性の高い委員会を作って、その規制委員会が今まで起きてきたことを前提としながら、さまざまなハードルを高くしていって、1つの問題だけではなくて、さまざまな観点からきちんと調査と提案、チェックをしていくということがまず、前提です。

 地域の住民の方々の安全・安心という気持ちをしっかりと確認しなければ、前には進めないんだと思っています。その上で、それぞれの地域の議会、首長さん、みなさんのGOサイン、すべてが整っていった場合には、再稼働はあると思います。

 ゼロか100で議論する話ではないので、『れば』『たら』を言い出したら、国策すべてを変えなくちゃいけないという状況になる。それはそれで、国を2分した論戦になるんだろうと思いますけれども、今、国民は自民党を選んで、その政権が、我々から見ると少し前のめり過ぎる再稼働を進めようとしている。

 これも現実の姿ですから、その中で最大限、住民側から見て安心と安全を確保できる方法、情報公開を徹底する、あるいは法に則った以外でも、必要があればきちんとした説明会を行う、さまざまな努力をしながら、どこかで立ち止まるということも含めて、進めていかないといけない」

――住民の方と原発の話をされますか?

 「まったく出ないですね。まったくというほどでもないけれども。子どもを持つ女性は、非常に心配していると思います。しかし、奄美の原発に関心を持つ方々は、むしろ、川内原発よりも中国で原発ができたときの心配をする声の方が多いですね」

少子高齢化社会が直面する問題をこれからの課題に

――鹿児島2区の課題は?

 「一言で言うと鹿児島2区は、日本の政治の課題の縮図みたいなところで、鹿児島市内という世界でも有数の都市を持っていて、南薩地区という鹿児島の最も平均的な中央都市、あるいは農業地帯があって、さらには奄美という離島の生活がある。

 それぞれの地域の政治的な課題というのがまったく違う。大都市から離島の問題まで全部ひっくるめてするとなれば、日本中にある課題はほとんど出てくるというぐらい、特殊で特別な選挙区だと思います。

 ただ、すべての地域での悩みが高齢化。高齢者が非常に増えて、その方々への医療・介護の提供、サポートをどうするか。少子化で子どもたちが減ってきている中で、若者の流出が止まらない。高齢化と少子化の問題は非常に深刻で、そのことは政治家が重く受け止めるべきテーマだと思います」(取材:原佑介、記事構成:安斎さや香)

 
※ IWJでは、大手メディアではあまり報道されないこの鹿児島2区補選について、現地住民の生の声や、鹿児島が抱える様々な問題を、密着して伝えています。また今回出馬した候補全員を、可能な限り取材し、その訴えや考えを、公職選挙法で定められている範囲でなんとか報道していきたいと考えています。IWJのこうした取材は市民の皆さまのご支援、ご声援で成り立っています。ぜひ、会員登録やご寄付によって、今後もIWJを支えていただければ幸いです。

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2014/04/19 【大阪】「動けなくなるまで、自分がどう生きるかが大切」余命1年を宣告されたカウンターの先駆者・泥憲和氏インタビュー in 鶴橋 ━原佑介記者

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140419_鶴橋

 コリアンタウンの大阪鶴橋で、レイシストによる「『返さなければ戦争だ!』拉致被害者全員奪還国民運動 in 鶴橋」と題したヘイト街宣が4月19日、行われる予定だったが、急遽、中止となった。

 レイシストらのヘイト街宣に抗議するため、鶴橋に集まったカウンター勢は、街宣の中止を受け、近くの公園で祝杯をあげた。IWJは、鶴橋周辺で生まれ育ったカウンター参加者などにインタビューを実施。地元・鶴橋への思い、ヘイトスピーチなどの差別行動に対する、それぞれの考えを聞いた。

  • 記事目次
  • 「ヘイトを見て育った日本の子どもは、どうなってしまうのか」
  • 差別や偏見は無知から生まれる
  • オールドカマー・ニューカマー・観光客で賑わう楽しい街・鶴橋
  • 「動けなくなるまで自分がどう生きるかが大切」余命1年を宣告されたカウンターの先駆者・泥氏インタビュー

■イントロ動画

  • 収録 2014年4月19日(土)
  • 場所 鶴橋駅前周辺(大阪市生野区・天王寺区)

「ヘイトを見て育った日本の子どもは、どうなってしまうのか」

 鶴橋の周辺で生まれ育った在日コリアンのカラーコーディネーターで、ミュージシャンのBaby-B氏は、IWJのインタビューに、「(ヘイト街宣主催者の川東大了は)最近よく、街宣をすっぽかすので、今日も中止になるかと期待していましたけど、実際に中止になってよかった」と話した。

 Baby-B氏は、「学校のクラスの半分は在日だった。あからさまな差別はなかった」と、この地での経験を振り返り、「共生できていたし、(国籍を)いちいち気にしていたら、人間関係なんて築けないですよね。この辺りは、そういう意味では『モデル地区』かなと思います」と語った。

 鶴橋で、レイシストらによってヘイトデモや街宣が行われてきたことについて、住民の方々はどのような思いを抱いているのか。Baby-B氏は、「腹を立てている人もいれば、そっとしておいてという人もいる。在日社会といっても様々」と話し、「ここで訴える意味はない」と断じる。

 「北朝鮮行ってしろよ、と思う。ぼくの在日2世の母が、ヘイトデモを見て心配するのは、日本人の子どもたちのこと。ヘイトデモを見た子たちが大きくなったら、この日本はどうなるんだろう、という意味です」

差別や偏見は無知から生まれる

 鶴橋で生まれ育った日本人男性は、地元・鶴橋がレイシストに襲われたことが、カウンターに参加するきっかけだったと話す。

 男性は、「この辺りに朝鮮人の方が住み始めたのは、戦前に平野川の付け替え工事があって、そこに出稼ぎに来たのが始まりだ、と小学校の地域学習で習いました。鶴橋生野区民の4人に1人が在日コリアンと言われています」と鶴橋を紹介した。

 「鶴橋の商店街には、子どもの頃から母親に手を引かれて買い物に来たりもした。小学校の同級生だったり、買い物に行く店の店主だったり、在日コリアンはあたりまえに近くにいる人だった。私はこの辺りで生まれ育ったから、差別もしないようになったのかもしれません」

 男性はこう語り、さらに、「差別や偏見は、『知らない』ことから生まれてくる。まず知ることを多くの方にしてほしいですね」と述べ、「ヘイト街宣の中止はベストな形で、『させない』ことが大事。観光客や買い物客がいつもどおりの週末を楽しんでいるようでよかった」と話した。

オールドカマー・ニューカマー・観光客で賑わう楽しい街・鶴橋

 公園での打ち上げ後、鶴橋のコリアン料理屋に移動し、大宴会が始まった。

 京都在住の在日コリアン・凡氏は、ヘイト街宣の中止について、「めっちゃ最高ですね。カウンターしてもヘイトスピーチは流れるし、街ゆく人も自分もダメージはウケますから。開催されないというのが一番いい」と喜んだ。

 凡氏は、鶴橋という街について、「在日コリアンが古くから住んでいて、コリアンタウンとしてキムチ売ったり焼き肉売ったり。駅を降りてすぐに焼き肉の臭いがして、胃袋が刺激される。『なんか食べていこうかな』と思う楽しい街」と紹介した。

 「最近はK-POPの店やニューカマーの人も増えて、韓国で最近流行の『ホットク』とかも売り始めた。文化が入り乱れていて、例えば、東南アジアのような下町が鶴橋には存在する、ざっくばらんで楽しい街。ツイッターで『鶴橋』と検索すると、だいたい『焼肉食べに行こう』とか『K-POPの店行こう』とか、そういう話ばかりで、ぜんぜん揉め事の書き込みもないし、在特会が言うように、在日コリアンが暴れまわっているということもないです」

 在特会などのレイシストについて、凡氏は、「デマを流してレイシズムをあおって、国と国の問題を鶴橋の人たちに持ち込まれても意味がわからん。人が胸を痛めるだけの街宣をして、自分の正しさを押し付けた気になって楽しんでいるのは最低。絶対させたらいかん」と強調。

 レイシストがこの日、予定していた「『返さなければ戦争だ!』拉致被害者全員奪還国民運動」という街宣のタイトルに対し、「お前が戦争を指揮できる立場でもないし、『お前が言うな』ということ。拉致被害は絶対に許せないし、解決を進めていかなければいけない」と反駁し、次のように続けた。

 「鶴橋に住んでいる人を、拉致の実行犯のように言うのは許せない。昨年、女子中学生が『鶴橋大虐殺を決行する』とスピーチしていた隣で、拍手喝采を送っていたのが(主催者の)川東大了。そんな奴がまともな政治主張を言うわけがない」と続け、「(今日街宣があれば)『殺せ』、『ゴキブリを叩きだせ』とでも言ったんだろう。先日の京都のウトロ地区でも、『ゴキブリ』という単語が出てたんで。今日、もしヘイト街宣があったら、酷いことになっていたと思う」

「動けなくなるまで自分がどう生きるかが大切」余命1年を宣告されたカウンターの先駆者・泥氏インタビュー

 いち早くレイシストに対してカウンター行動を起こした泥憲和(どろ のりかず)さんにも話をうかがった。泥氏は現在、悪性リンパ腫と固形癌を併発しており、入院しながら闘病中だ。医者には余命1年と宣告されているという。この日は、レイシストへのカウンターのために外泊許可をとり、鶴橋に駆け付けた。

 泥氏は、09年の京都朝鮮第一初級学校襲撃事件の後から、カウンター行動を始めたのだという。

 「09年に鶴橋で、『主権回復』を訴える連中が、京都の襲撃事件を手柄でも上げたかのようにアピールのデモをしにきた。これを監視したのが最初のカウンター行動ですね」。この情報を泥氏は、ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)mixiで知ったという。

 「その時、実際にヘイトデモを見て呆れた」と泥氏は振り返る。

 「デモ前の集会で、彼らは、『今まで我々は、朝鮮人に悔しい思いをさせられてきたが、我々が朝鮮学校を襲撃したことで、生徒の父兄が「こんなに悔しいことはない」と言った。我々は初めて朝鮮人を悔しがらせることができた。ざまぁみろ』と演説していた。それを聞いて、『馬鹿か』と思った。子どもをイジメて、『ざまぁみろ』って」

 その後のデモでレイシストらは、「文句があるなら戦争だ。いつでも平壌を火の海にするぞ」といったシュプレヒコールをあげ、「日本人は差別されている」と主張していたという。泥氏はその際、130人ほどのヘイトデモ隊から目を離さないよう、2〜3人の仲間とともに並走し、「ふざけるな」と怒号を浴びせたのだという。今のカウンターのスタイルを09年の段階で始めていたということになる。

 「デモ後、彼らと話しました。喫茶店でゆっくり話そう、と持ちかけても拒否されたので、その場で。そこで、『なぜ朝鮮人は出て行け、と言うんだ』と聞くと、『ろくでもないからだ』、『ミサイル飛ばしているだろう』という。そこで、『在日朝鮮人は飛ばしていない』と反論すると、彼らは二の句が継げない。こういうことが繰り返されたんです」

 09年当時、TwitterやFacebookは今ほどユーザーがいたわけではなく、こうしたSNSを利用した拡散なども、今のように普及していなかった。そのため泥氏は、資料を集め、自身のブログで、在特会らの言う「在日特権」に反論し続けたが、現実的にカウンター運動を広げる手立てはなく、組織化もできなかった、と説明する。それから数年が経ち、コリアンタウンに登場したのが、「レイシストをしばき隊」だ。

 泥氏は、「こういうこと(しばき隊)をおれはしたかったんだ。東京の『しばき隊』がやってくれたから、自分がやりたかったことを、今、できている」と、嬉しそうに話す。

 自衛官出身の泥氏は、現在の右傾化した安倍政権について、「安倍さんは許せない」としながら、当時を振り返る。

 「自衛隊に入って、まずやらされるのが『宣誓』。『私は、我が国の独立と平和を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し〜』から始まる。いまだに暗唱できますよ。私は独立と平和を守るために自衛隊に入った。今の『集団的自衛権』は、他国の都合で、政治的に、日本が国家として都合がいいからやろうとしていますよね。宣誓にも、憲法にもそぐわない。多くの自衛官もそう考えていると思う」

 安倍政権の誕生や、現在ささやかれている「社会の右傾化」は、鶴橋や新大久保で吹き荒れるヘイトクライムとも繋がっている、と泥氏はみている。

 「90年代までは、こんなにヘイトはなかったし、在日コリアンや部落への差別も下火にあったように思うんです。その頃の日本は、政治・経済的にもアジア諸国を凌駕していた。少々膝を屈しても、余裕があった。だけど中・韓などが政治・経済的にも伸びてきて、日本と肩を並べ始めた。膝を屈すれば、相手よりも下になってしまうという危機感が出てきたのではないか。『強くて、相手を上から見下ろせる日本であってほしい』。こういう思いが、どこか日本社会の根底にあるのではないかと思う」

 さらに、「90年代までのリベラルな日本はリベラルなわけではなく、政治・経済的な強さに裏打ちされた余裕でしかなかったんじゃないかと思う。それが今、露呈しているのではないか」と話し、続けた。

 「日本のデモクラシーやリベラリティが試されているのはこれからだ。レイシストたちは日本社会の油断を突いて勃興してきたが、それに対抗して、みんなが集まってカウンターを食らわせるというのは、日本社会のデモクラシーの強さを表している。これを失ってはいけない」

 泥氏は現在、60歳。「命がある間は、こういった運動を次世代に引き継ぎたい」と意気込む。

 医師から、余命1年と告げられていることについて、「たったひとりで、大きな力にはなれないが、動けなくなるまで自分がどう生きるかが大切。余命の宣告は、これからどう生きるかを考える、いいきっかけになった。宣告は、むしろありがたい」と語り、「宣告がありがたいのであって、1年しか生きられないという現実がありがたいわけじゃないけど」と笑顔で付け加えた。

 「自分に悔いのないようにいきたい。その中で、例えばカウンターの際に逮捕されるということがあるかもしれない。しかし、逮捕されたからといって、なんということもない。人生を曲げられるわけじゃない。遠慮なくヘイト野郎たちに、思うがままのことができる。後がないからね。考えるのは自分のことでなく、『自分のすることが社会に対してどう影響するか』だから」

 では、泥氏は、どのような社会にしたいのか。(IWJ・原佑介)

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