
「負けるはずないと思っているんです。世論が後押しするのですから」
10月30日(木)、川内原発再稼働に反対する市民たちによって、鹿児島県庁前にテントが立ち上げられた。この日、テント前で集会が行われ、参加者らは240時間の座り込みを宣言した。他方、県当局は、職員50人、施工業者50人を動員して、テント周辺、車道と歩道の境界にフェンスを設置し、抗議活動を妨害する手段に出た。
九州地方のみならず、全国から抗議に集った市民がシュラフを持ち寄り、宿泊しながら粘り強く声を上げるなか、11月5日午前、鹿児島県臨時議会が始まった。先週の薩摩川内市議会と同様に、結論ありきの再稼働シナリオが進められていく状況を前に、「反原発かごしまネット」代表であり、「311実行委員会」事務局長・向原祥隆氏ほか、テント前の抗議活動に参加していた女性に、活動の経過と見通しについて聞いた。
- 記事目次
- 県庁前での攻防――市民による抗議と当局による妨害行動
- 全国から届く声援、全国に広がる抗議
■Ustream録画(13:10~ 34分間)
- 日時 2014年11月5日(水) 13:10~
- 場所 鹿児島県庁前(鹿児島市)
県庁前での攻防――市民による抗議と当局による妨害行動
記者「今回座り込み抗議を呼びかけられたわけですが、簡単な経緯について、お聞きしたいと思います」
向原氏「9月10日に(川内原発再稼働の前提となる)審査書が確定し、鹿児島県が県内5ヶ所で住民説明会をしました。すべての会場で住民の発言のうち、9割以上が反対の立場からの発言でした。(当局は)それに恐れをなしたのでしょうね。
火山や活断層など(の対策)がぼろぼろなんですよね。それならば、早く(再稼働を)決めなければならないということなんでしょう。向こうはとても焦っていると思います。『もう決まりましたよ』と既成事実化して、反対活動を無力化しようという狙いだと思います。
12月末に再稼働するなという仮処分を申請しており、裁判所の判断があります。福井地裁のこの前の裁判で、具体的な危険性が、万が一にでもあれば、差止の根拠になるという判決文がありました。川内原発を見ると、万が一、というものではなく、もう、ぼろぼろ。だから、負けるはずないと思っているんです。世論が後押しするのですから。
もう一つは、来年4月の統一地方選。いちき串木野市などは(住民の)8割が反対です。薩摩川内市も、6割から7割が反対。今ではもっと多くなっているかもしれません。こうしたことを背景に、できるだけ再稼働を早く決めて、(抗議行動を)静かにさせたい、というのが彼らの考えでしょう。
そういうむちゃくちゃな状況の中で、すんなり(再稼働を)通すわけにはいきませんよね。だから、先週木曜(10月30日)夜、テントを張りました。(鹿児島県は、そのテントの周りに)フェンスを張ったり、こまごました妨害をしてきますが、こちらから、精一杯の抵抗は示していきたいと思います」
記者「さきほど、午前中の議会を傍聴して、知事報告がありました。国が安全を保障した、とか、住民の理解が進んだ、とか、自分たちの都合の良いことばかりを言って、他方、自分たちに不都合なことには何も言っていません。おととい、日本火山学会はついに、『九州電力の火山の認識はまったく違う』と言いました」
向原氏「議会の中ではもう、議員たちが(シナリオを)決めていますから。今日、本会議が始まりましたが、私は傍聴をボイコットしました」
記者「昨日までは、座り込みに関与した人は、(県庁舎のなかの)トイレも、喫茶店も使えず、県庁舎に立ち入ることさえも、完全にシャットアウトされました。県知事や経産相など、権力の思惑にとって都合の悪い意見を持っている人を、庁舎という、県民の土地から恣意的に排除する、という事態は呆れたものだと思います」
向原氏「3号機の増設時にもこうしてテントを張って抵抗しました。(その時は)柵を設けたり、ということはなかった。知事は了見が狭い。彼は何を恐れているのでしょう。正々堂々とやれ、と言いたいと思います」
記者「今後の予定はいかがでしょうか」
向原氏「テントを建てるときも往生しました。撤去するのももったいかなと思います。県知事が(再稼働同意を)表明したら、強行に(テント排除に)出るとも言われており、それに対して、どう対応するか。反対の意志は消えるはずはないですから。全国に向けて、一つのうねりを作っていきたいと思います。ぜひ、みなさん来てください」
(IWJ・小田垣大志)
全国から届く声援、全国に広がる抗議
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