改憲勢力阻止の懸かった2016年7月10日の参院選で、野党統一候補の伊波洋一氏が当選し、現職の島尻安伊子沖縄・北方担当相を制した沖縄。その沖縄で、参院選直後、国が高江のヘリパッド建設を、月内にも強行することが明らかになった。
ヘリパッドは高江集落を囲むように全部で6カ所建設される予定で、そのうち完成した2ヶ所にはすでにオスプレイが配備されており、騒音や安全性への不信が沖縄の人々を苦しめている。
さらなる建設の進行に抗議する市民を強制排除して、7月11日以降、国は着々と工事の準備を進めている。全国から集めた500人という異常な数の機動隊を投入し、次々と住民をごぼう抜き。近くのダムには、抗議の人々が使う公衆トイレがあり、そこではなんと警察が検問までしているという。まもなく、国や警察は、抗議のテントを撤去しにかかる模様だ。
そもそも高江のヘリパッドは、1996年12月のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意で、米軍北部訓練場の一部を返還する条件として、建設されることになった。
「合意があるから建設を進める」――。そんな国の論理を真正面から否定するのは、沖縄弁護士会の小口幸人弁護士だ。
小口弁護士といえば、参院選にあたって、各地で積極的に「緊急事態条項」の危険性を広めてきた、若手の弁護士である。
その小口弁護士は、今年の2月から沖縄に移住して同地の事務所に弁護士登録をし、辺野古や高江の米軍基地問題を間近に見てきたという。2016年7月19日には、自身のブログでも、高江の問題に強く警告を発している。
小口弁護士によると、国はSACO合意の締結にあたって、オスプレイ配備の可能性を把握していながら、住民にまったく知らせなかったという。住民が強く抗議するのは、こうした姑息なやり方が受け入れられないためだろう。
さらに、たとえどんなに国が「もう合意してしまった」と言い張っても、小口弁護士によると「抗議者の強制排除や検問、テント撤去は許されない」。法律上・憲法上、どちらの観点から見ても、国にも警察にも、住民の抗議行動を潰す権利はないのだ。
「住民の抵抗権や表現の自由の圧殺」を許していいのか――。
この問いは、沖縄の人々だけの問いではないはず。本土の人間も、真剣にこの問に向き合わなくてはならなくなる。
参院選で改憲派に3分の2の議席を許してしまった報いは、すぐに我が身にふりかかる。内閣の恒久的な独裁を許してしまう緊急事態条項は、すぐそこまで迫ってきている。
▲最初の4時間分の中継(小口弁護士インタビュー含む)
▲小口弁護士インタビュー部分単独抜き出し動画
▲検問への抗議動画